ボクシングの全階級の中でも屈指の歴史と層の厚さを誇るミドル級で、オリンピック金メダルと世界タイトルをともに獲得する日本人初の偉業を成し遂げた村田諒太さん(37)が、このほどボクサー人生に終止符を打った。「戦う哲学者」と呼ばれ、自己の内面と向き合うことで高く厚い壁を突破してきた村田さん。4月末には引退後初となる著書「折れない自分をつくる 闘う心」(KADOKAWA刊)を出版し、現役最後の試合となった2022年4月のゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)戦までの恐怖や葛藤との戦い、ボクサー・村田諒太を形づくってきた心技体についてつづっている。現役引退に際し、長いキャリアを振り返るとともに、次代の日本ボクサーや自身の未来についても語った。 「やっぱり違いますね。どこかで自分はボクサーだという気持ちがこれまではあったんですが、あの日を境にボクサーの枠から完全に外れたというか、いい意味で『もう自分は