「スイセンをニラと間違えて食中毒に」「山菜と有毒植物を誤認」など、園芸植物や野草を熟知しないばかりに起こる事故が、あとをたちません。軽症の場合もありますが、なかには、救急搬送されるケースもあります。特にジャガイモ、マメの仲間、ウリの仲間などには十分な注意が必要です。『身近にある毒植物たち』を著した森明彦氏が、これらの中毒症例をご紹介しながら、回避のポイント、そして身近な生命科学のおもしろさをご案内します。■ 「ジャガイモ」──芽を取り除くだけでは不十分 日本で最も中毒患者数が多い植物といえば、圧倒的に「ジャガイモ」です。意外という方もいるのではないでしょうか。 ジャガイモは、「ソラニン」(solanine)、「チャコニン」(chaconine)という成分を合成して、嘔吐、腹痛、下痢、めまいを起こさせ、追い払おうと警戒します。特に収穫されたとき、つまり地表に出たとたん、ソラニンなどの合成