ブックマーク / www.tokyo-source.com (12)

  • TS11 : KAMI - Tokyo Source

    KAMIの描くラインはシンプルで特徴的だ。 いわゆるグラフィティと聞いて思い浮かべる、文字をモチーフにした「タギング」(個人や集団のニックネームを描いたもの)ではなく、具象的な絵柄というわけでもないが、一度見ると忘れない強さをもっている。「未来的なイメージで宇宙人でもわかる形」をイメージしていたと彼は言う。それは強烈に主張してくるというよりも、ストリートにちゃっかりと馴染みながら、通りがかりの僕らを楽しくさせてくれる。 70年代、公共空間での落書きから始まったと言われているグラフィティは、最近ではギャラリーや美術館でも展示が行われるようになってきているが(KAMIも2005年10月から水戸芸術館で開催予定のグラフィティのグループ展「X-COLOR: Graffiti in Japan」に参加)、元来それは壁画であり、ストリートに、そして一般の人々に開かれたパブリックアートだ。そこにはホワイ

  • TS28 : 左京泰明 - Tokyo Source

    僕は今回のインタビューを行う頃、ちょうどノーベル賞を受賞したグラミン銀行の創設者、ムハマド・ユヌスの自伝を読んでいた。貧困から抜け出せない国の人々に無担保で融資し、経済的に自立させる“マイクロクレジット”(小額無担保融資)という、ユヌスが作り上げた方法は世界中で実践され、さらに(これが一番重要なのだが)この事業は、きちんと利益を生み出している。 社会貢献を行う者はただ自己犠牲を強いられ、企業体はただ利益を求める。そんな通俗だけが真理なのか?しかしながら、企業精神と社会貢献を両立させる方法なんてあるのだろうか?――そんな問いにユヌスは自らの生き方とビジネスを通じて1つの解を出してくれた。 そのにインヴォルヴされていたせいか、僕はインタビュー中、シブヤ大学学長の左京泰明が語る言葉に頷かされていた。彼が考えていることは、すなわちそのまま僕が思い悩んでいたことだった。青臭い言い方を厭わなければ、

  • TS38 : 坂口恭平 - Tokyo Source

    坂口さんが2004年に刊行した『0円ハウス』は、日の都市の路上生活者の多彩な家のあり方を撮り、一冊のにまとめた写真集だ。個性豊かな家々が並ぶ中で一貫しているのは、「人が住むためにはどれだけの空間が必要なのか?」という坂口さんの問いかけ。それは、路上生活者の住まいをレポートすることを通して、表層的なデザインを追い求める建築界に一石を投じる試みだった。 最近では、隅田川沿いの0円ハウスに住む鈴木さんの生活を、「0円生活」と呼び、家から生活空間へ、生き方へとその研究対象を広げている。 単なる「エコ生活」ではない「0円生活」とは何か、そこに「0円ハウス」からつながるどんなテーマがあるのか――そんな興味から申し込んだインタビューだったが、実際にお会いした坂口さんは、想像以上にパワフルで、ハイテンションで、スケールの大きなテーマを抱えていた。「0円生活」は、坂口さんの考えている全体像の、ほんの一部

  • TS49 : 杉本博司 - Tokyo Source

    TSと雑誌『広告』の連動によるスペシャルインタビュー第2弾は、杉博司さん。 「海景」「劇場」「ジオラマ」シリーズをはじめとする、深い歴史認識に基づいたコンセプトと緻密な技術による写真作品ほか、近年では直島・護王神社や進行中の小田原でのプロジェクトで自ら図面を引くなど、建築の仕事でも知られる杉氏。 70年代からNYをべースにアーティストとして活動してきた彼は、日の古美術をはじめとするコレクターとしても知られる。2003年に東京のメゾンエルメスで始まり、アメリカ、カナダなどでの展示を経て、大阪国際美術館での展示を終えたばかりの「歴史歴史」展は、そんな杉氏自身の収集品と作品によって再編集・捏造された人類の歴史でもある。 常にアートの狭い文脈に留まらず、人類がつくりあげてきた思想、文化、科学、宗教など歴史そのものを扱う杉氏。日の古美術への深い造詣をもちつつ、世界の現代アートシーンで活

  • TS52 : 名和晃平 - Tokyo Source

    PixCell_Elk#2 mixed media ©OMOTE Nobutada Courtesy of the Hermès Foundation BEADS インターネットで収集したモチーフの表面を、無数の透明な球体で覆うことで「PixCell(映像の細胞)」というフォーマットに変換された彫刻。 近藤:今日は名和さんの作品づくりの発想の源を聞いていきたいのですが、まずはその一つとして、建築から受けた影響について聞かせていただけますか? 名和:作品を構想する時って、どういう場所に展示するか、どう作品にアクセスさせるかが一番大事なので、どうしても空間や建物が気になります。学生の頃はヘルツォーク&ド・ムーロン(スイスの世界的建築家)がカッコいいと思って見ていましたが、去年、群馬で磯崎新さんとレム・コールハース(オランダの建築家、都市計画家)さんの対談があり、そのあとに浅田彰さんらと合流して

  • TS53 : 猪子寿之 - Tokyo Source

    猪子寿之が代表を務めるITベンチャー「チームラボ」は、「日」や「未来」を発想の源とする。平面であるはずの大和絵を3DCGで表現した「花と屍」や「花紅」といったビデオアート、検索結果が“面白い順”に表示される「サグール」といったWebサイト、ユーザーインターフェイスをエンタテインメントに変えた「act face」、さらにオフィスの机やイスといったプロダクトまで……デザインとアートとテクノロジーの境界を曖昧にする作品を発表し続けている。猪子は高校生の頃からインターネットによってもたらされる情報化社会の到来を予期し、東大在学中の2000年にチームラボを設立。現在、メンバーは100名を超える。 そんなチームラボを訪ねたのは2009年春のこと。東京・郷の見晴らしのよい高台に社が入るビルがあった。受付にはファミンが置いてあり、スーパーマリオ風のゲームを操作して、メンバーを呼び出すシステムになって

  • TS57 : Chim↑Pom - Tokyo Source

    「SUPER RAT」2006 ビデオ、渋谷センター街で捕獲したネズミの剥製 courtesy of Mujin-to Production, Tokyo 「ハマッ子なんですけど、学校が都内にあったので渋谷で育って、新宿、六木で遊んでました(笑)」という紅一点のエリイ。元キャッチで「吉祥寺で一番黒い男」と言われていたという卯城さん、元走り屋だったという稲岡さん、「渋谷系が好きだった」という水野さんなど、Chim↑Pomのメンバーにとって東京という街が発想の源になっていると言う。 「渋谷のようなストリートの価値観って美術に画期的に足りないもの。同時代にあるものだし、現代美術にもそういうものがあっていいはず。渋谷で作品をつくった時(「スーパーラット」「BLACK OF DEATH」)は圧倒的にそういうイメージがありましたね」 3 グループ

  • TS60 : 小池健 - Tokyo Source

    遠い遠い未来、命知らずのレーサーたちが何でもありの壮絶レースに挑む!! そのレースの名は“REDLINE”。 2010年10月9日、いよいよ公開となったアニメーション超大作『REDLINE』。CG全盛の時代にあって手書きにこだわった作画アニメのスピード感、デフォルメされたキャラクターや車の造形がもたらす“ぶれ”“誤差”による「主観的な臨場感」は、まさにリーガルトリップ! 「世界と対峙する僕の自意識」の“セカイ系”が跋扈するアニメ界にあって、『REDLINE』が持つ身体性、肉体性は異色を放つ。賞金稼ぎ、ゴロツキ、ヤクザ、そんな怪しい(妖しい)連中が幅を利かせる世界で、主人公のJPとヒロインのソノシーのラブストーリーが音速に挑むレースとともに加速していく。 監督の小池健は、アメコミの影響を感じさせる独特の作風を持つアニメーターとして数々のアニメ作品に参加し、石井克人監督の『PARTY7』のアニ

  • TS62 : 鈴木康広 - Tokyo Source

    鈴木さんに会うのは久しぶりだった。 初めて会ったのは2000年前後、彼が初期作の模型の椅子がプロジェクターで拡大されて回る「椅子の反映」や、夜のジャングルジムに昼の子供たちの映像を投影した「遊具の透視法」を発表していた頃。アート文脈など知らなくても分かる、子供時代のわくわくする気分を思い出すような作品が印象的だった。 その後も、水戸芸術館や青山スパイラルで展示された、紙に描かれた目が落ち葉のように舞う「まばたきの葉」や、鉛筆・ハンコを使った小さな作品を発表。最近では、羽田空港ターミナルで展示した「空気のひと」、瀬戸内海を巨大なファスナー型の船が開いていく「ファスナーの船」などパブリックスペースでの大規模な展示も増えている。 一見、メディアアートやデザインのようにも見えつつ、常に身近なものをモチーフに新しい体験を生み出す彼の発想の源は何なのか。久しぶりに会って、じっくりと話を聞いてみたくなっ

  • TS65 : 会田誠 - Tokyo Source

    TSと季刊誌『広告』との連動インタビュー第10回は会田誠さん。 『巨大フジコ隊員VSキングギドラ』『紐育空爆之図(戦争画RETURNS)』『自殺未遂マシーン』『灰色の山』など、エログロや、社会問題など多様なテーマで、絵画だけでなく、写真、立体、パフォーマンス、映像、漫画小説など多彩な作品を発表してきた会田さん。日の現代美術界でも特異なポジションを確立しつつある彼の発想の源とは? 来年には都内某美術館での個展も控えている彼に話を聞いた。 インタビュー:近藤ヒデノリ(TS編集長) 1 今、準備中の作品について 近藤:まずは今、とりかかっている作品について聞かせていただけますか。 会田:来年の11月初頃から都内某美術館で個展が始まるんで、最近2年くらいと今後1年はほとんどその準備をやっています。ちょっと前までも、金沢美大の学生と1カ月間、段ボールで半立体のようなものをつくっていましたが、これ

  • TS66 : 川村真司 - Tokyo Source

    昨年末にWeb上でリリースされ、あっという間に世界中で話題を呼んだSOURのインタラクティブ・プロモーションビデオ(PV)作品『映し鏡』。 入力画面で自分のFace bookやtwitterのアドレスを入れると、当人の画像データやつぶやきなどが自動的に読みこまれ、その人自身の「映し鏡」のように独自の映像体験をもたらしてくれる。画面の枠内で展開するPVと違い、映像が画面を飛び出してGoogleやFacebookなど様々な画面を渡り歩く…自分のデスクトップ上をジャックされたような感覚に驚いた人も多いはず。 僕自身、TwitterのTLで流れてきたのを見て「これはスゴい!」とつぶやいたら、あっという間に元会社の後輩でもある川村真司くんとつながり、あれよという間に正月早々、早速インタビューすることに。その後、原稿作業に手間取っている間に『映し鏡』は予想通りカンヌ、NY ADC、クリオ、アドフェス、

  • TS58 : 江口宏志 - Tokyo Source

    「ZINE'S MATE, THE TOKYO ART BOOK FAIR」は、ZINE(ジン)と呼ばれる自費出版物やアートブックを扱ったブックフェアだ。第1回は2009年、東京・原宿の2会場で開催され、3日間で150組が出店。会場は“スモール・パブリッシング”、“リトル・プレス”と言われる自費出版のファンが集い、のべ8000人もの来場者に溢れた。 主催者の江口宏志さんは、2002年からインディペンデントなアートブックを取り扱う書店「UTRECHT(ユトレヒト)」を経営するかたわら、2007年、NYのアートブックフェアに参加した。その際、ZINEを売る数多くの作家兼出版社に出会い、驚いたという。 江口さんは、彼らとアートブックの取引や交流をする中で、日でもNY同様のフェアを開催してみたいと思うようになる。マンガやアニメにはコミケがあるが、アートブックにはマーケットが同じようなものはなかっ

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