ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (15)

  • ITスキルを「本」で高める『技術書の読書術』

    ネットがあるでしょ? わたしもそう思っていた。 ITスキルに限らず、新しい技術や分野を学ぶとき、最初にすることは検索だ。ネットで紹介されている記事やノウハウを読むことで、どんなものか把握できる。無料で最新の情報が手軽に手に入る。お金をかけずに学習できるメリットは大きい。 一方で、ネットで検索するためには適切なキーワードを入れる必要がある。 知りたいことがピンポイントで言語化できるなら、かなり便利だろう。だが、そもそもどんな用語を入れたらよいのか、その言葉すら分からない段階では、ネットを使いこなすのは難しい。自分に何が足りないのかは、自分には見えにくい。知らない知識は検索すらできない。 いわゆる探求のパラドクスだ。知らないことが何であるのか分からないのなら、「それ」を学ぶことすらできない。行き当たりばったりに学んで、「それ」に行き当たったとしても、「それ」が何であるか分からないのだから、行き

    ITスキルを「本」で高める『技術書の読書術』
  • 炎上プロジェクトの火消し術『プロジェクトのトラブル解決大全』

    飛び交う怒号、やまない電話、不夜城と化した会議室。 集められたホワイトボードが衝立のように立ち並び、全員が立って仕事をしている(座る間が無いから)。週をまたぐとメンバーの疲弊が目に見えはじめ、月を跨げば一人二人といなくなり、仕事場はお通夜となる。 トラブルの無いプロジェクトは存在しない。炎上するかボヤで済むかの違いなだけで、大なり小なりトラブルは付きものである。 自分が所属する部署は大丈夫かもしれない。だが、隣のブースだとか、同期がいるチームで炎上しているのを横目で見ながら仕事する、なんてことがある。ホワイトボードは目につくし、大きな声はイヤでも耳に入ってくるので、プロジェクト炎上⇒鎮火するパターンなんてものも、なんとなく伝わってくる。 消火作業のイロハとか、怒った客をあしらう方法、リカバリ計画の立て方なんてのも、肌感覚で分かってくる。 そして、トラブルの扱いが分かってくる頃には、「応援

    炎上プロジェクトの火消し術『プロジェクトのトラブル解決大全』
  • 面白い世界史の本を3人で2時間お薦めしあった中から厳選した12冊(前編)

    お薦めの世界史のについて、3人で2時間語り合った。 世界史を学びなおす最適な入門書や、ニュースの見方が変わってしまうような一冊、さらには、歴史を語る意味や方法といったメタ歴史まで、脚家タケハルさん、文学系Youtuberスケザネさん、そして私ことDainが、熱く語り合った。 全文はyoutubeで公開しているが、2時間超となんせ長い。なのでここでは、そこから厳選して紹介する。 因果関係を補完する『詳説 世界史研究』 スケザネ:大学生、あるいは社会人の方々にも、世界史を学ぶには、まず真っ先に「高校世界史」をオススメしたいです。世界の歴史を幅広く知るという観点から、高校世界史はベストだと思います。 代表的な高校世界史の教科書は、山川出版社の『詳説 世界史B』。世界史の概観が400ページぐらいにまとめられてて良いなんですが、これだけだと記述が簡素で、理解するには少ししんどい。 実際、自分が

    面白い世界史の本を3人で2時間お薦めしあった中から厳選した12冊(前編)
  • この本がスゴい!2020

    今年の一年早くない? トシ取るほど時の流れを早く感じるのは知ってるけど、今年は特に、あっというま感がすごい。恒例のこの記事、もう書くの!? と思ってる。 毎年、「人生は短く、読むは多い」と能書き垂れるが、今年は、「人生は加速的に短く、読むは指数的に多い」と変えておこう。 そして、昨年と比べると、世界はずいぶん変わってしまった。 基的に外に出ない、人と会わないが普通になり、マスク装備が日常になった。オフ会や読書会でお薦めしあった日々は過去になり、代わりにZoomやチャットでの交流が増えた。 ポジティブに考えると、そのおかげで、読み幅がさらに広がった。わたし一人のアンテナでは、絶対に探せない、でも素晴らしい小説やノンフィクションに出会うことができた。お薦めしていただいた方、つぶやいた方には、感謝しかない。 さらに、今年はを出した。 ブログのタイトルと同じく、[わたしが知らないスゴは、

    この本がスゴい!2020
  • 大好きなマンガが完結したので全力でお勧めする『大蜘蛛ちゃんフラッシュバック』(ネタバレ無し)

    このマンガは、同級生のお尻を見てたら、ひっぱたかれるところから始まる。 ……このシーンは、主人公の実(みのる)の目線ではない。お尻を見てたのは亡き父で、その記憶が、折に触れて、実の脳内に蘇るのだ。 お尻の持ち主は、若かりし頃のお母さん(旧姓:大蜘蛛ちゃん)。つまり、母に一途な父の目線でもって、「女子高生のお母さん」の記憶が、息子にフラッシュバックされる。 そして厄介なのは、実は、お母さんに恋をしてしまっていること。女子高生のお母さん(細身で強気)と、今のお母さん(むっちり無防備)に煩悶する、マザコンラブコメ。 「お母さんに恋してる」なんて、ちょっとヤバくね? その自覚はある。だから実は自問する。 だけど、お母さんとの日常に、父の過去の記憶が入ってくると、女子高生のお母さんの可愛いさに撃たれる。そして、(ここ重要)父がどれほど母を好きだったか、ということを、父の目線で思い知る。だから実は煩悶

    大好きなマンガが完結したので全力でお勧めする『大蜘蛛ちゃんフラッシュバック』(ネタバレ無し)
  • ミスが全くない仕事を目標にすると、ミスが報告されなくなる『測りすぎ』

    たとえば天下りマネージャーがやってきて、今度のプロジェクトでバグを撲滅すると言い出す。 そのため、バグを出したプログラマやベンダーはペナルティを課すと宣言する。そして、バグ管理簿を毎週チェックし始める。 すると、期待通りバグは出てこなくなる。代わりに「インシデント管理簿」が作成され、そこで不具合の解析や改修調整をするようになる。「バグ管理簿」に記載されるのは、ドキュメントの誤字脱字など無害なものになる。天下りの馬鹿マネージャーに出て行ってもらうまで。 天下りマネージャーが馬鹿なのは、なぜバグを管理するかを理解していないからだ。 なぜバグを管理するかというと、テストが想定通り進んでいて、品質を担保されているか測るためだ。沢山テストされてるならバグは出やすいし、熟知しているプログラマならバグは出にくい(反対に、テスト項目は消化しているのに、バグが出ないと、テストの品質を疑ってみる)。バグの出具

    ミスが全くない仕事を目標にすると、ミスが報告されなくなる『測りすぎ』
  • リアル君の名は。おっさんが女の子の匂いを買ってきて身につけたら、たまらない背徳感を味わえた

    「女の子の匂い」をご存じだろうか? 「臭い」ではなく「匂い」である。 よく言われる、せっけんの香りではない。デオドラントや柔軟剤、コンディショナー、乳液、ハンドクリーム、化粧水、オーラルケア、ファンデなどの香料、フレグランスでもない。それらは、女の子から漂ってくる様々な匂いを構成する要素にすぎない。 そうした、外づけの化合物ではなく、女の子自身から発する匂いだ。ココナッツミルクや白桃を想起させる、何とも言えない、「匂い」というより、「あの感じ」といえば分かるだろうか。心地よく、はっとする感じ、あるいは身体的にオンになる感覚である。 これは、わたしの変態性が生み出した妄想にすぎぬ、と考えていた。しかし、優れた先人たちの研鑽と研究の末、「女の子のいい匂い」とは、以下の物質であることが判明している。 ・高級脂肪酸と安息香酸エストラジオール ・ラクトンC10、C11 では、女の子の匂いを再現するこ

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  • これが教養だ! 『これは水です』

    書店に行くと「教養」を謳う雑誌やの多いこと。 ひと昔前のマジックワード「品格」「大人の~」と一緒やね。来ソレが足りなかったり欠けていることを指摘して、その雑誌なりを「買う」ことで補完できるというレトリック。あるいはソレに価値を見いだしている自尊心をくすぐるテクニック。騙されるほうが馬鹿なんだが、わたしもよく騙される(レジまで騙されたら負け)。 つまり「教養」を人質に、コンプレックスを煽るビジネスなのだ。 エセ教養人の手口 「ビジネスリーダーに求められる教養」とか「人生を豊かにする教養」という惹句で、人間関係を円滑にしたり信頼関係を築くためのツールとしての「教養」が重要だという。で、よくよく聞いてみると、ただの雑学や豆知識だったりする。要するに、アイスブレイクや知的マウンティングに使える小話のことを、「教養」と呼んでいるにすぎぬ。 そうやって「教養人」を名乗り、まとめサイトやWikip

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  • おっさんから若者に贈る「経験を買う」6冊: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    結論から言うと、経験は買える。 適切なタイミングで適切なと出会うことで、しなくてもいい経験や、身につけておくべき知恵を”買う”ことができる。今「おっさん」である私から、20年前の「若者」だった私に、いい仕事をする上で読んで欲しいを選んだ。 20年前は、炎上プロジェクトに飛び降りて、鎮火しつつ撤退する「しんがり」役を仰せつかっていた。負けることは決まっているが、死なないように生きることばかり考えていた。将来に漠然とした不安を感じていたものの、とにかく目の前の障壁をクリアすることが先決だと思っていた。 今はかなり違う。 身をもって得た経験や教訓はあるが、代償は大きく、もっと効率よく結果につなげることができたはず。この「効率」とは要するに時間だ。莫大な時を費やして手に入れた経験は確かに得難いが、そんなことをしなくても積むことはできた。どうすれば可能か、今なら分かる。 それはを読むことだ。

    おっさんから若者に贈る「経験を買う」6冊: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
  • なぜ「面白い物語」は面白いか?『物語論 基礎と応用』: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    なぜ「面白い物語」は面白いか? トートロジーみたいだが、小説を読んでて、そんな疑問を抱いたことはないだろうか。ひたすら浸っているときは気付かないが、読了後、どうしてあんなに夢中になっていたのか不思議に思ったことはないだろうか。 わたしはある。一般に面白い小説に共通する特徴を洗い出したり、特定の人が面白がる「面白がりかた」を考えることで、おぼろげながら、「面白い物語の法則」のようなものを見出していた。あるいは、脚術やストーリーメイキング、『マンガの創り方』といったネーム作りのハウツーから、創作のための実践的なノウハウをもらっていた。 だが、たいていはヒューリスティックで「売れた作品を分析するとこうなっている」という経験則が最初にあり、その理屈は後からとって付けたように書かれている。そうではなく、「人はなぜ物語を好むのか?」というそもそも論から始めたい。もちろんアリストテレス『詩学』のよう

    なぜ「面白い物語」は面白いか?『物語論 基礎と応用』: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
  • 『小説・秒速5センチメートル』の破壊力について

    3編にわたるオムニバス形式で、初恋が記憶から思い出となり、思い出から心そのものとなる様を、驚異的なまでの映像美で綴っている。 ノスタルジックで淡く甘い展開を想像していたら、強い痛みに見舞われる。わたしの心が身体のどこにあってどのような姿をしているのか、痛みの輪郭で正確になぞることができる。予備知識ゼロで観てしまったので、徹底的に打ちのめされた。涙と鼻汁だけでなく、口の中が血の味がした(ずっと奥歯を噛みしめていたんだと思う)。初めて観終わったとき、それほど長い映画でもなかったのに(1時間とすこし)、疲労感で起き上がれなくなった(ずっと全身に力を込めていたんだと思う)。 何度も観ているうちに、「それを観たときの出来事」が層のように積まれていく。どんな季節に、誰と/独りで、何を思い出しながら観たかが、痛みとともに遺されていく。あるときは彼の気持ちになり、またあるときは彼女に寄り添い、観たという記

    『小説・秒速5センチメートル』の破壊力について
  • 読書猿『問題解決大全』はスゴ本

    一生役立つ一冊。 これ、言い切っていいと思うが、わたしが直面するあらゆる問題は、検討済みである。 新しい問題なんてものはない。「問題」をどの抽象度で定義するかにもよるが、新しく「見える」だけで、分析してみれば、分解してみれば、裏返してみれば、再定義すれば、古今東西の人たちがすでに悩み、検討し、着手し、対処してきた問題であるにすぎぬ。 ただし、対応する人にとってみれば、それは新しい問題である。または、初見の状況に直面することもある。だが、人や状況が違えども、問題そのものは、ほどいてみれば、既出なのだ。新しい状況下で、新しい人が、既出の問題を解き直しているといえる。 そして、問題を解決するための方法もまた既出である。わたしが知らないだけで、古今東西の人たちがすでに考え抜いている。ある手法は学問分野になっていたり、またある方法はライフハックやビジネスメソッドになっていたりする。規制や法制度化され

    読書猿『問題解決大全』はスゴ本
  • 科学の面白さ・楽しさを伝える100冊 「科学道100冊」

    科学の面白さ・素晴らしさを届ける企画として、「科学道100冊」が公開されている。これは、科学者の生き方や考え方を伝えるために、100冊のが選ばれている。 ミソは「いわゆる理系」に閉じないところ。もちろん分野ごとの啓蒙書もあるが、「世界の見え方の変遷」を鳥瞰する科学史、センス・オブ・ワンダーを喚起する小説漫画、知的好奇心を刺激する図鑑など、いろいろ揃えている。 例えば、ディックの電気羊やパワーズ『オルフェオ』が「科学の」として並んでいる。これ、選者のメッセージが込められているんだろう誰だろうと見たら、編集工学研究所だった。松岡正剛さんの名前を前面にしてないのは、硬すぎず深すぎずが意図されているのだろう。 この100冊からいくつか選んでみた。さいきん微生物にハマっているわたしとしては、そっち系を入れて欲しかったが、ないものねだりかも。 生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問について

    科学の面白さ・楽しさを伝える100冊 「科学道100冊」
  • 『土と内臓』はスゴ本

    人体をトポロジー的に見ると、消化器官を中心とした「管」となる。もちろん胃や腸には逆流防止のための弁が備えられているが、位相幾何学的には「外」の環境だ。 この見方を推し進め、内臓をぐるりと裏返しにしてみる。くつ下を裏返すように、内側を外側にするのだ(このグロい思考実験は、クライヴ・バーカーのホラー小説でやったことがある)。裏返しにされた小腸や大腸を見ると、そこに植物の根と極めてよく似た構造と営みを見出すことができる。「水分や栄養素を吸収する」相似だけでなく、そこに棲む微生物との共生関係により、健康や成長面で重要な物質がやり取りされている。根と腸は、微生物とのコミュニケーションや分子取引をする市場なのだ。 書の結論は、微生物を中心とした人体の腸と植物の根の相似型であり、これに頭をガツンとやられた。ばらばらに得てきた知識が書で一つにまとまるとともに、わたし自身が囚われていた先入観がぐるりと―

    『土と内臓』はスゴ本
  • この本がスゴい!2016

    人生は短く、積読山は高い。 せめては「死ぬまでに読みたいリスト」を消化しようとするのだが、無駄なあがき。割り込み割り込みで順番がおかしくなる。読了した一冊に引きずられ、リストは何度も書き直される。 重要なのは、「あとで読む」は読まないこと。「あとで読む」つもりでリツイート・ブックマークしても読まないように、あとで読もうと思って読んだ試しはない。だから、チャンスは読もうと思ったそのときしかない。実際に手にとって、一頁でも目次でもいいから喰らいつく。勢いに任せて読みきることもあれば、質量と体力により泣く泣く中断するもある。かくして積読山は標高を増す。 ここでは、2016年に読んだうち、「これは!」というものを選んだ。ネットを通じて知り合った読書仲間がお薦めするが多く、それに応じてわたしのアンテナが変化するのが楽しい。わたし一人では、数学経済学歴史学、進化医学や認知科学の良を探し出せな

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