進まない選択的夫婦別姓の議論 選択的夫婦別姓について、ご存じの方も多いと思うが、ここで少し説明しておきたい。 法律を改正して、夫婦が同じ名字でも、結婚前の別々の名字でも、自由に選べるようにする制度のことだ。 現在、民法と戸籍法では、夫婦は婚姻時にいずれかが姓を改めなければならないという夫婦同姓制度が採用されている。夫婦のどちらが改姓してもいいのだが、実際には圧倒的に女性が改姓することが多い。これが男女の差別につながり、憲法が定める「法の下の平等」(14条)や「婚姻の自由」(24条)に違反するのではないか、という議論が続いてきた。 選択的夫婦別姓の記事を書くと、読者から「自分は専業主婦で入籍して夫の姓になったが、なぜ同姓ではいけないのか」というお手紙をいただくことがある。大事なのは、あくまでも「選択的」であるということだ。同姓にしたい人は、もちろん同姓にすればいい。 だが、夫の姓になることで