大阪府北部で最大震度6弱を観測した地震は、自力で逃げることが困難な要支援者の安否確認の課題を浮き彫りにした。国は要支援者の名簿作成を市町村に義務づけているが、名簿を活用できたのは一握りだった。名簿を基に要支援者の見回りをする民生委員などをあらかじめ決める「個別計画」の策定も、担い手不足で進まない現状が改めて明らかになった。「名簿をいつ、どんな時に使うかという明確な規定はなかった」。地震で2人が
大阪府北部地震で、家屋の外観は被害が目立たないものの、内部は家財などが散乱している被災者の事例がクローズアップされている。多くは独居などの高齢者とみられ自力で片付けが困難だが、被災状況が一見して分かりにくく支援の手が行き届いていない。都市ならではの地域コミュニティーの希薄さも影響しており、兵庫のボランティア団体は「見えない被災者」に寄り添うため実態把握に動きだしている。 「きれいになったわ。逃げ道ができて万歳」 地震後で最初の週末だった今月23日、同府高槻市の女性(82)は物が片付いた自宅内を見て、ほおを緩ませた。 自宅は同市南部にある府営団地の1階。建物に大きな被害はなかったが、室内は玄関や廊下にガラスが飛び散り、重い冷蔵庫や戸棚の場所がずれていた。 精神疾患を抱えた長男と2人暮らし。持病で左肩が上がらない。途方に暮れていた時、様子を聞きつけた「ひょうご災害ボランティアシニアクラブ」のメ
大阪府北部を震源とする最大震度6弱の地震で、法律に基づく要介護者や障害者ら災害時に支援が必要な「避難行動要支援者」の名簿を使って安否確認を進めた自治体が、20日現在で被災13市町のうち8市町にとどまることが朝日新聞の調べで分かった。3市は安否確認自体を実施せず、自治体で対応に差が出ていた。 国は「災害弱者」が多く亡くなった東日本大震災を教訓に改正した災害対策基本法で、要支援者の名簿作成を市区町村に義務づけた。災害時は名簿を活用した安否確認の実施も求めている。取材によると、13市町すべてで計約27万人分の名簿が作成されていた。 今回の地震を受けて内閣府は18日から、災害救助法が適用された府内13市町に安否確認するよう周知。ただ名簿を元に安否確認を進めたのは、大阪、豊中、守口、茨木、寝屋川、四條畷、交野の各市と島本町の計8市町だった。高槻、摂津両市は名簿は使わず障害福祉事業所への連絡や独自の独
介護保険制度で、要支援向けの新方式の低報酬訪問・通所介護の利用率が低いことがわかった。より重度の要介護1、2まで低報酬訪問・通所介護に含める財務省案に、自治体から「無理だ」と批判が出ている。【斎藤義彦、稲田佳代】 昨年9月、東京都北区の通所介護「フィットネスデイもあ」が閉鎖された。北区が昨春導入した新方式の通所介護の報酬が低く「収入が3割減った」(関係者)ためだ。約150人の利用者は区が他施設に移した。元利用者の女性(86)は「なぜあんないい施設が閉鎖されるのか。設備も内容もよかったのにもったいない。理解できない」と不満を漏らす。「もあ」は2003年、要支援だけを対象に運動に特化し、機器を使い2時間でリハビリしていた。国が06年に要支援の介護予防を推奨した後、流行したリハビリだ。新方式の報酬は従来より約4割低く、直撃を受けた。「国の政策を他に先駆けて行ったのにはしごを外された」と関係者は嘆
一人暮らしの60歳以上の高齢者の4割超が「孤独死」を身近に感じると答えていたことが19日、内閣府の「高齢者の健康に関する意識調査」で分かった。政府は同日午前、平成30年版高齢社会白書を閣議決定し、調査内容を盛り込んだ。 孤独死を身近な問題だと「とても感じる」「まあ感じる」と答えたのは、60歳以上の人全体で17・3%だったが、一人暮らし世帯では45・4%に上った。東京23区内では、28年の一人暮らしの65歳以上の自宅での死亡者数は3179人だった。 調査では、家族や友人との会話の頻度が高い人ほど自分の健康状態を「良い」と評価する傾向が明らかになった。会話の頻度を「ほとんど毎日」と答えたのは、健康状態が「良い」と答えた人の90・1%にのぼり、「良くない」と答えた人の67・2%だった。 白書では、先端技術を用いて高齢者の会話や外出を増やす取り組みについても取り上げた。例えば、生き物のように動く「
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