「刑務所に戻りたかった」と、JR下関駅(山口県下関市)に放火した男性(84)は8月に刑期を終え、福岡県内の施設で暮らしている。司法と福祉が連携して支えることで「もう刑務所には戻りたくない。好きな人に囲まれて最期を迎えたい」と笑顔も見せる。社会に居場所がないために罪を重ねる「累犯障害者・高齢者」の問題を浮き彫りにした事件から10年、男性の笑顔は罪と更生の在り方を問うている。 男性は74歳だった2006年1月7日未明、下関駅に放火して焼失させた。被害額は5億円以上で、懲役10年の判決を受けた。判決は「軽度知的障害で、かつ高齢でありながら、刑務所を出所後、格別の支援を受けることもなかった」と指摘した。 当時、男性は放火の前科が10件あり、22歳以降の40年以上を刑務所で過ごしていた。過去の裁判で6回も知的障害などを認められたが、一度も障害福祉サービスにはつながらなかった。 下関駅の事件は、
8月末に上陸した台風10号で19人が死亡した岩手県岩泉町で、災害復旧ボランティアが不足している。住民からは「人手が足りない」と悲鳴が上がるが、交通事情の悪さなどから支援が行き届いていない。 山間部の安家(あっか)地区。8月30日の豪雨で安家川が氾濫(はんらん)し、2週間以上たった今も1階の天井まで泥が堆積(たいせき)したままの民家がある。 菊地孝子さん(70)は自宅などの泥出し作業を夫の秀定さん(71)と2人でこなす。「畑に流れ込んだ冷蔵庫や大きな柱は私たちだけでは運べない。若い力を借りたい」と話す。 岩泉町災害ボランティアセンターを運営する町社会福祉協議会によると、1日から16日までに参加したボランティアは延べ2381人。休日は約350人が集まるが平日は約100人。385件の支援要請のうち完了は2割程度だ。 三陸海岸沿いの岩泉町へ盛岡市から行く交通手段は車やバスのみで約2時間かかる。宿泊
東京大学公共政策大学院は住民参加で地域課題を解決する「チャレンジ!!オープンガバナンス」を開く。行政情報を使いやすく提供するオープンデータの手法を活用。関東を中心に全国31自治体が提示した子育てや交通など56の課題について、解決策を探ってもらう。東大の各学部が参加する連携事業に住民も参加し、新たな行政サービスにつなげる。コンテスト形式で実施し、8月まで課題を提示する自治体を公募していた。16日
東京メトロ銀座線の青山一丁目駅(東京都港区)で視覚障害者の会社員、品田直人さん(55)=世田谷区=がホームから転落死した事故で、国土交通省は16日、鉄道会社がホームドアを設置する費用の補助金として、平成28年度第2次補正予算案と29年度予算の概算要求で計約67億円を計上したことを明らかにした。新たに20〜30駅での整備が可能になる。石井啓一国交相が同日、視覚障害者の鉄道安全対策を要請した日本盲人会連合(東京)に答えた。 ホームからの転落事故を防ぐホームドアの設置では、国と自治体が鉄道会社に対し総費用の3分の1ずつを補助する制度があり、国交省はこれに28年度第2次補正予算案で40億円、29年度予算の概算要求でも27億円を盛り込んだ。 28年度は当初予算で22億円を計上しており、132駅で整備が進められている。追加の予算措置によって、さらに20〜30駅でホームドアの設置が進められるようになると
「運動会、何か(種目)出るの?」と聞くと「おやつが出るよ」。「よく目を動かして周りの友達をみてごらん」と言うと目玉だけきょろきょろ動かす――。思わず笑って済ませてしまいがちな幼児の勘違い。でも、そもそも大人の話し方がわかりにくいから起きるのではないかと、こうした出来事を27年記録し続けている幼稚園があります。命を左右しかねない災害時の対応にも生かそうとしています。 京都府宇治市の広野幼稚園は保育所を含めて約500人の子どもが通う。1989年から、教諭ら職員が意外に感じた子どもの言葉や行動を記録している。エクセルファイルに保存された記録は約5500件。大人の話し方が不十分だったと判断したら、「目的語、修飾語の欠落」といった注意点も記入する。教諭は避難訓練や遠足といった行事の前に、今まで記録した出来事を用語で検索して印刷するなどして、読み返す。 発案したのは吉村裕園長(81…
経済連携協定(EPA)で外国人の看護師や介護福祉士を受け入れて8年。インドネシア、フィリピン、ベトナムから計4千人近くが来日し、600人余が国家試験に合格した。労働力として期待される一方、合格者の3割以上は帰国などEPAの枠組みから離れた。「定着」はなぜ難しいのか――。 8月下旬、介護福祉士のインドネシア人女性(31)が6年半暮らした日本を離れ、母国に帰った。大きな段ボール箱一つ分は、介護と日本語の勉強の本で埋まった。「もう疲れ果ててしまった」 来日前はインドネシアで小児科の看護師として働いていた。EPAの募集を知ると、アニメで憧れた日本に行けると夢が膨らみ、2009年に応募した。 来日後、4年間は施設で働きながら研修をする。仕事は楽しく、覚えた日本語で利用者と冗談を言い合った。夕方には自習時間があり、月2回は日本語教室に通わせてもらった。日本の制度や専門用語は難しかったが、過去の問題を頭
認定率下がれば財政支援=介護費抑制で自治体に-厚労省 厚生労働省は16日、高齢者らの自立支援に取り組み、介護サービスを受けるのに必要な「 要介護認定 」を受けた人の割合(認定率)を下げた都道府県と市区町村に財政支援する方針を固めた。膨らみ続ける介護費の抑制と地域間格差の是正が狙い。23日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の介護保険部会に示し、年末にまとめる2018年度介護保険制度改正案に盛り込む。 介護費は年々増加し、16年度は制度が始まった00年度の約3倍に当たる10兆円に達する見通し。一方、 要介護認定 率や市民1人当たりの介護費は地域によってばらつきがある。実態把握に向け、同省は市区町村に介護サービス費や要介護認定の状況などのデータ提出を関係法で義務付ける方針だ。 財政支援に当たっては、要介護状態の改善、介護予防施策の実施状況などを評価する指標を作る方針。年末の予算編成に向け、
カトリック教会は12日、教会内における性的虐待を根絶するため、新しく叙階された司教たちを性的虐待の扱い方に関するトレーニングに参加させると発表した。 ローマ教皇フランシスコが設置した性的虐待問題に関する諮問委員会「教皇庁未成年保護委員会」の委員たちが、このトレーニングを実施することになる。教皇フランシスコは就任以来、この問題に関しては厳しい態度で臨んできた。 近年、聖職者による性的虐待に関する多くの告発がカトリック教会に対してなされている。それに対して、バチカン(ローマ教皇庁)は2014年、過去10年間にほぼ850人の司祭が聖職を離れたことを認めた。 教皇フランシスコは聖職者の虐待行為について、「耐えられない」とし、「想像しうる中で最も恐ろしく汚れた行為」だとして非難。数回にわたって被害者と面会している。 同委は、聖職者と信徒の専門家らで構成され、女性も含まれており、教会の権力機構の中で十
岐阜ダルクの広報誌をパソコンで作成する通所者のまさひろさん(仮名)=岐阜市真砂町の岐阜ダルク「Step house(ステップハウス)」で 人と交流、心開き100人が利用 薬物依存者の社会復帰を支援する民間リハビリ施設のダルクが岐阜市長住町に開設されてから10月で12年を迎える。これまでに約100人が利用し、約30人が社会復帰を果たした。自身もダルクを通じて薬物依存を克服した岐阜ダルク施設長の遠山香さん(51)は「人が変わっていく姿を見ることが喜び」と語る。【沼田亮】 遠山さんは福井県出身。16歳の時、知人の勧めでシンナーを始め、17歳の時に覚醒剤に手を染めるようになった。「家族を裏切り、薬物をやめられない自分を責め続けた」。犯罪行為をしているとの負い目から周囲に相談できず、その苦しさから再び薬に手を出してしまうという悪循環に陥った。33歳の時に覚せい剤取締法違反容疑で逮捕されたのを機に薬物
思春期や若い世代のがん患者が抱える悩みや問題を把握して支援につなげようと、厚生労働省の研究班(代表者=堀部敬三・名古屋医療センター臨床研究センター長)が、患者や経験者らへ初の大規模実態調査を実施し、治療環境の整備や社会生活支援のための指針を作成する方針を決めた。治療時期が進学や就職、結婚、出産の時期と重なるため、指針には、この世代特有の入院時や治療前後に配慮する点や提供すべき情報などを盛り込む予定だ。 この世代のがん患者は「AYA(Adolescent and Young Adult=思春期・若年成人)世代」と呼ばれる。研究班は、AYA世代の対象を15歳から40歳未満とした。2012年の患者数は全国で約2万人と推計されるが、国内の実態は分かっていない。研究班は今年、この世代の患者と治療を終えた経験者各200人ずつを対象にアンケート調査を実施。がんの治療内容や後遺症▽入院生活や治療中の悩み▽
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く