インタビュー「安冨歩」より: 実は私は、いわゆる「学問分野」を成り立たせているのもまた「盲点の共有」ではないかと考えています。例えば経済学の場合、最適化、つまり最適なものが選択されるというのが経済学の基本なんですが、それは稀少性、つまり物が足りないという状況が、大前提となっています。稀少性はエントロピー第二法則が大前提となります。なぜならエントロピー第二法則がなければ、永久機関がつくれるので、何でもコストなしに作れます。そうすると稀少なものなどなくなります。一方、エントロピー第二法則は、計算とか情報のやりとりにコストがかかることを要請します。そうすると、最適化という大変な計算過程を実行しようとすると、ものすごいコストがかかることになります。すると、最適化という行為自体が資源の賦存を変化させてしまい、最適化を振り出しに戻してしまいます。これでは何時まで経っても最適化は終わりません。 以上のこ