前回は、ソフトバンクが自分より「大きな」ボーダフォンを買収して携帯電話市場に参入した取引について解説した。この一連の取引が、ノンリコース・ローンなどを用いて、基本的にはソフトバンク本体に過大な影響を及ぼさないスキームになっていると考えられることを述べた。 今回は、こうして手に入れたソフトバンクモバイル(旧ボーダフォン)が加わった日本の携帯電話市場で、どのような戦いが繰り広げられるのかを、財務的な観点から考えてみたい。 巨額の設備投資が必要な“巨人たち”の戦い 携帯電話ビジネスは、全国津々浦々に基地局のアンテナを敷設し、電波による通信という「物理層(情報通信において、実際に信号が伝わる物理的媒体)」を作り上げなければならない。すなわち、このビジネスモデルは、設備投資が非常に巨額になるというのが特徴である。 携帯電話ビジネスの規模感を、図1で見てみよう。各社の連結貸借対照表で「固定資産」が、主
ライブドアは11月22日、金融部門を投資ファンドのアドバンテッジパートナーズに売却すると発表した。貸付債権などを含む実質的な売却額は約551億円。 金融部門は2005年9月期で連結営業利益の8割を稼ぎ出していたが、今年1月に証券取引法違反事件が発覚して以降、顧客の流出などが相次ぎ、収益性は悪化していた。ライブドアはポータル事業に集中する。 ライブドア証券や電子マネーのビットキャッシュ、商品先物取引のライブドアコモディティなど7子会社を傘下に持つ金融持ち株会社・ライブドアファイナンシャルホールディングス(LDFH)の発行済み株式の100%(8100株)を、12月20日にアドバンテッジパートナーズに譲渡する。 譲渡額は175億7700万円。ライブドアがLDFHとその子会社に持つ貸付債権約376億円は段階的に返済を受ける予定で、最終的にライブドアが回収する現金は約551億円になる見込み(受取利息
◆オリックスから資本・役員 ◆急成長 「村上ファンド」の業績の伸びは目覚ましい。 中核の投資顧問会社で、2000年9月に業務を開始したMACアセットマネジメントの営業報告書によると、一般企業の売上高に相当する投資顧問料の収入は、02年3月期の1億226万円が、05年3月期には25億143万円へと、3年間で約24倍に急成長した。 急成長は、ファンド規模の拡大が支える。投資家が資金運用の判断をすべて投資顧問会社に任せる「投資一任契約」をMACアセットが結んだ資産の残高は、02年3月末の615億円が05年3月末には1653億円となった。05年6月末には1795億円に達した。受け取る投資顧問料も、その分増えたわけだ。 しかし、本当はそれすら“氷山の一角”に過ぎないのかもしれない。 村上ファンドは、グループの“司令塔”である経営コンサルタント会社のM&AコンサルティングとMACアセットが中核だが、そ
社会生態学者、ピーター・ドラッカー氏が2005年11月11日に亡くなってから早くも1年が経った。この1年の社会の動きは目まぐるしかったが、変化が激しい時こそ、本質をつくドラッカー氏の言葉に耳を傾けるべきではないだろうか。こう考え、ドラッカー氏とのロングインタビューの記録をひもといてみた。 幸いにも、私はこれまで3度、ドラッカー氏にロングインタビューする機会に恵まれた。最初のインタビューは1997年のことだったが、当時のメモを見直してみると、現在に通じる示唆的な発言が満載されていた。1999年の2度目、2003年の3度目のインタビュー内容もまったく古びていなかった。 ドラッカー氏の魅力はたくさんあるが、何と言っても、物事をとらえるスケールにはインタビューのたびに圧倒された。現在起きている事象を読み解く際に、こちらが予想もしていなかった歴史上の逸話を持ち出し、それらを対比して、目からうろこ
ご指定のファイルが存在しません お手数ですが、URLをご確認のうえ、再度お試しください。
18日開業のダイヤモンドシティ・ミュー(東京都武蔵村山市)。延べ床面積15万m2は東京ドーム3個分。中核テナントのイオン(ジャスコ)の投資額は16億円に過ぎないが、専門店モールも含めると総額420億円に上る。 「同じ商圏のイトーヨーカ堂、西友もそうだが、最大のライバルはモールに入っている180の専門店群だ」 開業前の記者会見。イオンの村井正平専務は不敵な笑みを浮かべた。こうした大規模・郊外型SCの積極展開という極めて分かりやすい戦略に、最も敏感に反応したのが外国人投資家だ。 資金殺到、募集額の20倍 イオンが1カ月前に公表した公募増資。約2000億円のうち国内投資家から6割、海外投資家から4割を集める算段だったが、いざフタを開けてみると、海外分を担当する証券会社の引受部門は大騒ぎになった。 募集額の20倍――。年金や投資信託などの投資家からの注文を積み上げたところ、1兆5000億円を軽く上
電機業界での「勝ち組」の座は、安定的な状況だ。 好調なFA(ファクトリーオートメーション)システム事業や自動車機器事業が牽引し、三菱電機は2007年3月期中間決算で、前年同期比103%増となる936億円の営業利益を計上した。社会インフラ事業など重電システム部門と、携帯電話端末事業を含む情報通信システム部門も、昨年中間期の営業赤字から黒字へと転換。すべての事業セグメントで黒字化を達成した。 事業の選択と集中による効果が鮮明に表れていることもあり、「総合電機大手3社」の中で、株価が最も高い企業としてもすっかり定着した。昨年秋以来、日立製作所(6501)と東芝(6502)の株価を上回り、現在も1038円(11月20日時点)と、700円前後で推移する日立や東芝を尻目に1000円の大台をキープしている。連結予想PBR(株価純資産倍率)は21日時点で2.32倍と、東芝の2.20倍及び日立の0.95倍を
新連載の本コラム「ビジネスを考える目」は、コンサルタントの鈴木 貴博氏(百年コンサルティング 代表取締役)。鈴木氏が、日常生活 や仕事の場面で気づいたちょっとした「ビジネスのヒント」を毎週紹 介してもらう。携帯電話からユニクロまで、「消費者」と「ビジネス」 のちょうど中間に立った視点で、日本のビジネスをじっと見つめて、 考えるコラム。 セカンドランク・ブランドづくりは難しい 前回のコラムで、GMS(総合スーパーマーケット)の生き残りの方向のひとつとして、製造小売業への全面進出という解があるのではないかと述べた。その意味で今回「g.u.」(ジーユー)についても触れておかないと“バランスが悪い”と思うので、コラムに書かせていただきたい。 今年の10月13日から首都圏のダイエーで徐々に展開を始めたカジュアルブランドが「g.u.」(以下、ジーユーで表記を統一)だが、このブランドはある意味でとても注
上木 貴博 日経ビジネス記者 2002年に筑波大学を卒業し、日経BP入社。「日経ビジネス」「日経情報ストラテジー」「日経マネー」編集部などを経て、2016年4月から現職。製造業を中心に取材中。趣味は献血(通算185回)。相撲二段。 この著者の記事を見る
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 「24」の第5シーズンをDVDで見終わりました。実によくできたドラマです。お金もかかってます。ご覧になった方は分かると思うのですが、DVDのスタッフロールの一番最後には映画でお馴染みの「20th Century Fox」のロゴがファンファーレの音とともに登場します。 アメリカのテレビのプライムタイム(日本で言うゴールデン)のドラマの多くはハリウッド映画スタジオのテレビ部門が製作しています。その大きな理由の1つが1960年代から90年代半ばまで存在していた「フィンシンルール(Fin-Syn Rule)」にあるとされています。 映画会社がテレビドラマを作っている背景 フィンシンルールとは、テレビの3大ネットワークが巨大な放送インフラを背景にコンテ
トヨタ自動車がディーゼルエンジンの開発・生産強化を狙い、いすゞ自動車と合意した資本・業務提携には意表を突かれた。いすゞが提携を拡充する相手は、すでに国内バス事業を統合している日野自動車が本命と見ていたが、そうではなく日野の親会社のトヨタが速攻で縁結びしてしまった。環境対応技術と世界一へのトヨタの執念であり、業界再編の核となる「吸引力」が際立ってきた。 4月にいすゞが35年に及んだ米ゼネラル・モーターズ(GM)との資本提携を解消した際、本コラムで「離散したGMファミリー、別れは出会いの始まり」を書いた。いすゞの「出会い」の相手は、2002年当時に経営統合も視野に交渉を進めたこともある日野が「自然の流れ」と指摘したが、見事に外した。 2社との提携には「工数不足」を補う共通の狙い 昨年10月に資本提携した富士重工業に続き、GMとの資本関係を解消したいすゞもトヨタとの提携を選択した。トヨタからすれ
「我々は自力で独ダイムラークライスラーやスウェーデンのボルボというトラック業界の巨人と肩を並べるつもりだ。ディーゼル技術の開発には規模が必要で、協力してくれる味方を募ることは重要。でも『いすゞにまだ力が足りないから(トヨタ傘下の)日野自動車と一緒になれ』というのは違う」 相次ぐ日野との提携の質問に、井田社長はこう一蹴した。提携会見の際も「財政的には困っておらず、トヨタに株を持ってほしいとは言ったことはない」と記者団に語っていたが、「世界のトヨタ」への牽制はなお続いた。 いすゞは今期の連結営業利益の見通しを、当初予想より70億円増の1000億円に上方修正し、中期経営計画の目標値を1年前倒しで達成すると宣言した。つい3年前まで多額の赤字に苦しんでいたのが嘘のようだ。 ただ、いすゞにとってトヨタの出資を仰ぐことは、ともすれば独立性を失いかねず、社員のモラールが下がるというリスクもある。それでも出
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く