アスペルガー症候群や高機能自閉症などの障害を持つ人のコミュニケーション力が、神経細胞を活発化する市販の従来薬の投与で改善されることを、芦屋大発達障害教育研究所(兵庫県芦屋市)と東京農工大大学院生物工学科(東京都府中市)の共同研究チームが突き止め、日本神経精神薬理学会などで発表した。 コミュニケーション障害の効果的な治療薬はほとんど開発されておらず、芦屋大で研究にあたる油井(ゆい)邦雄医師は「障害に悩む人の治療の選択肢を増やすことができる」としている。 アスペルガー症候群や高機能自閉症などを総称して自閉症スペクトラム障害といわれる。研究チームによると、一つのことに熱中、反復するなどの行動障害と他人の言葉の意味や気持ちの理解が困難なコミュニケーション障害がある。脳の神経発達不全が原因とされるが、これまでコミュニケーション障害の治療薬はほとんどなかった。 研究チームは、神経細胞の発達に効果があり