現在、最強の防御力がある繊維と言えばケブラーがおなじみだ。分子構造が剛直で直鎖状の骨格を持つため、高強度・高耐熱性であり、同じ重さの鋼鉄と比べて5倍の強度を持つ為、防弾チョッキなどにも使用されている。 だが、ケブラーを越える繊維が微生物から作り出せると言ったらどうだろう? 新たに開発された「人工筋肉繊維」は小さな「大腸菌」を利用して作られており、ケブラーよりも強いのである。 大腸菌に筋肉タンパク質を合成させて新たな繊維を作る実験 自然界には、高性能でありながら、生分解できる素材を非常に少ないエネルギーでつくる天才たちがいる。 一例としては、きわめて丈夫なカイコの絹、水中で粘着力を発揮するイガイの足糸、圧縮に強いアワビの真珠層などが挙げられる。 こうした素材は、石油からつくられる似たような素材よりもずっと優秀だ。 アメリカ・セントルイス・ワシントン大学をはじめとするグループは、大腸菌に「チチ