概 要 要求工学はソフトウェア開発における要求仕様化プロセスを工学的に定式化する技術として注目を集めている。今年は第12回の要求工学国際会議(International Conference on Requirements Engineering,ICRE)が日本の京都で9月6日から11日まで立命館大学の衣笠キャンパスで開催される[1]。本稿では、要求工学の概要と要求工学の本質的な要素を明らかにするとともに、要求工学の価値について述べる。最後に要求工学の課題を紹介する。 要求工学の必要性 要求工学( Requirements Engineering)は新しい技術ではなく1970年代から議論されている。ソフトウェア危機が1960年代に認識されたときに、ソフトウェア開発プロジェクトが失敗する主要な原因が要求の欠陥にあると報告されている[2]。 開発したソフトウェアが納入され変更することなく使わ