近年の鉄道車両は、さまざまな分野の設計者やデザイナーによる独自性の高い車両が増えた。私鉄の特急列車でいえば、建築家の妹島和世氏が手がけた西武鉄道の特急「Laview(ラビュー)」、ファッションデザイナーの山本寛斎氏による京成電鉄の「スカイライナー」、フェラーリなどで知られる工業デザイナーの奥山清行氏率いる「KEN OKUYAMA DESIGN」が監修した東武鉄道の「リバティ」などが代表例だ。 その先駆的な例といえるのが、建築家の岡部憲明氏が率いる「岡部憲明アーキテクチャーネットワーク」による小田急電鉄の特急ロマンスカー、50000形「VSE」だろう。岡部氏は2018年登場の最新型ロマンスカー、70000形「GSE」に至るまでそのデザインに携わり続けているが、初めて手がけた鉄道車両が2005年登場のVSEだった。 小田急のフラッグシップとして多くのファンに愛されながらも、2021年3月で定期