ジャズピアニストの海野雅威が最新アルバム『I Am, Because You Are』を発表した。そこには様々なスタイルを身に着け、その歴史をリスペクトする海野の姿勢が垣間見える。ニューオーリンズからスウィング、ストライドピアノからビバップ、モーダルまで。100年を超えるジャズ史が海野らしい演奏のなかに散りばめられている。 1980年生まれの海野は、トランペッターの黒田卓也と同い年で、ロバート・グラスパーやカマシ・ワシントンとほぼ同世代。ハイブリッドなジャズを提示してきた彼らと同じ時代に育ってきたわけだが、オーセンティックなジャズに恋焦がれてきた海野の演奏や音楽観には、大ベテランのような成熟が感じられる。だからこそ、アメリカに渡ってからレジェンドたちの信頼を勝ち取り、ロイ・ハーグローヴのレギュラーバンドにも抜擢されたのだろう。 僕(柳樂光隆)も同世代の一人として、海野とじっくりジャズピアノ