新型コロナウイルスの感染拡大で多大な影響を受けた朝ドラ「エール」も、いよいよ今月で終幕となりました。 そして今週焦点があたったのは、ヒロインの音です。オペラ「ラ・ボエーム」のオーディションに参加する話はドラマのオリジナルですが、元ネタがないわけではありません。今回はその史実を紹介しましょう。 ■藤山一郎、李香蘭と並んでオペラに出演するモデルとなった古関金子は、1954・55年、「朱金昭」「チガニの星」「トウランドット」(原文ママ)という3篇のオペラに出演しています。これは、演出家の東郷静男が台本を、NHK演芸部の近江浩一が演出を、そして古関裕而が作曲を担当した、オリジナルの放送用オペラでした。 「朱金昭」といえばフレデリック・ノートン作曲のミュージカル、「トゥーランドット」といえばプッチーニのオペラで有名ですが、古関たちは、そのような先行作品に負けないように、意気飛んで作品に取り組んだとい