30年以上にわたって賃金が伸び悩んできた「安いニッポン」が転機を迎えている。女性やシニアの労働参加が頭打ちになり、アジアとの経済格差の縮小は外国人労働力の供給を細らせる。あらゆる産業で労働需要が供給を上回る絶対的な人手不足が到来し、働き手優位の状況は賃上げ圧力を強めている。「旅館で1泊2食付きが当たり前ではなくなっている」。登別温泉(北海道登別市)で旅館を運営する企業の担当者はこうこぼす。客足
賃金上昇率の拡大や為替相場の円安基調を背景に、日本のインフレ期待がおよそ9年ぶりの水準にまで高まっている。日本銀行が今月27、28日に開く金融政策決定会合で政策修正を行うとの警戒感も加わり、長期金利の上昇圧力が増してきた。 新発10年国債から物価連動国債の利回りを差し引くことで金融市場が予測する先行きの物価上昇率を示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、10日時点で1.16%と2014年11月以来の水準に上昇した。当時は日銀の黒田東彦前総裁が量的・質的金融緩和を拡大するいわゆる「黒田バズーカ」の第2弾を放った直後で、一時的にインフレ期待が上昇した。 野村証券の松沢中チーフストラテジストは「インフレ期待の上昇は14年より地に足が着いており、国内の物価、賃金の上昇を考えれば、まだ上昇する余地がある」とみている。
ウクライナ危機で日本経済を襲うインフレ圧力に拍車がかかることになりそうだ。昨年末からじわじわと物価上昇の兆しが見え始め、牛丼チェーンやハンバーガーチェーンなどが次々に値上げを実施している。少なからぬ人にとって賃金の上昇が実感できないなかでの物価上昇に、消費者が不安な気持ちになるのも無理はない。そんななか、「値上げしない宣言」をした企業もある──。 【写真】ワークマンのイベントに出演したモデルの土屋アンナさん。2021年秋冬ウェアを披露する「水上“Night”過酷ファッションショー」に登場 現場作業や工場作業向けの作業服やアウトドアウェア関連用品の専門チェーンとして全国で940店舗を展開するワークマンだ。2月1日には、会社ホームページで「緊急告知!!『価格据え置き宣言』ワークマンは売上の6割を占めるPB品価格を維持」と告知。PB(プライベートブランド)製品について、インフレ下での「値上げしな
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