「こうのとりのゆりかご」に預けられた宮津航一さん(中央)。みどりさん、美光さん夫婦の深い愛情を受けて育った=16日、熊本市東区(谷川剛) 【いのちの場所 ゆりかご15年】 第1部 家族になる 航一さんのこれまで① 満開の菜の花が輝いていた。今春、熊本県立大に入学する宮津航一さん(18)=熊本市東区=は、少し照れたような笑顔で家族写真に収まった。「まぶしいくらいの日差しだね」。視線の先には、笑顔の父と母がいる。 航一さんは、2人の実子ではない。高校2年の時、里親の宮津美光さん(64)、みどりさん(63)夫婦と養子縁組をした。2人は法的に親子となる前から、身を寄せる家がない航一さんと暮らしてきた。我慢強く転んでも泣かなかった幼児は、中学校では生徒会長を、高校では陸上部主将を務めるほど積極的になった。夫婦はたくましく育ってゆくわが子を、そばでずっと、見守ってきた。 一つの家族の始まりは、15年前