今月7日の緊急事態宣言発令以降、飲食店の営業自粛や在宅勤務の増加などで、社会の姿は一変した。世間を覆う「自粛」のムードに、生きづらさを感じる人も少なくない。ダイエットブームと、社会の関係に鋭く迫った「ダイエット幻想―やせること、愛されること」(筑摩書房)で話題を呼ぶなど注目の医療人類学者、磯野真穂さんに、今の社会はどう映っているのだろうか。【鈴木英生】 「『早く宣言を!』の声があふれた状況は新型コロナ自体よりも怖い」 --全国に緊急事態宣言が出ました。これまでの過程をどうご覧になってきましたか? 世論は、元々、緊急事態宣言に慎重だったかに見えましたが、いつの間にか、安倍晋三政権に批判的な人たちまでもが、まるで「早く宣言を出せ」となりましたよね。「自分たちの私権を制限しろ」と言わんばかりの勢いに感じました。政府に「こう補償するので、自粛してください」と言われて同意するのであれば、まだわかりま