茂木健一郎[脳科学者] *** 「政権交代」は民主主義における「呼吸」のようなもので、政権交代がない民主主義は、呼吸を止めてしまっている。その意味では、日本は、戦後長い間、政治的には呼吸を止めてしまっていたのだと思う。 投票による民主主義が機能している国では、定期的に政権交代が起こる。なぜ、国民の意見がそのように割れるのかは、興味深い問題であるが、異なる意見の人がほぼ半々存在することが、社会の変化のダイナミズムにつながるのであろう。 同じ政治家さんたちが、交代して、与党の立場と野党の立場を経験することで違った風景が見える。政治家としての資質が向上する。それが、与党あるいは野党という一つの立場ばかりにいると、だんだん政治的眼力が腐ってくる。 だから、ぼくは常に、政権交代の可能性が最大になるように投票したいと思っている。特に、日本のようによどみやすい国では。政権交代自体に価値があり、