49 :(福岡県):11/10/06 20:54 ID:dm3a65YN0 坂を上り、雲の上にまでついたのではないだろうかという期待とともに見上げた空は、新緑の薄緑の光とともにあった。 青は遠く高く、緑はそれよりも少しだけ手の届きそうな位置で揺れていた。 今でも鮮明に思い出せる。 遠い夏の昼下がり。 そびえ立つ太い木の幹はずっしりと地面に根付き、溢れんばかりの夏の匂いを辺りに振りまきながら光の中にあった。 その光の根元に幼い私は腰を下ろし、腰に下げたオレンジジュースの入った水筒を飲んだ。 そして、その時だけは、その場所でそうしている時だけは、絶えず頭の中に駆け巡る幾つもの考え事や不安、心配事やら何やらを一切心の一番深いところに押し込めることができていたのだ。 幼い私の全てを満たすのは、空の蒼と白い雲の不思議な形の数々、新緑の光と夏の空気、そして水筒の表面の汗だった。 そう