国内の油画修復の礎を築いてきた東京芸術大大学院の名門研究室が、女性教授のアカデミックハラスメント疑惑で「崩壊」の危機に直面している。アフガニスタンの壁画や19世紀フランスの画家、ミレーの作品修復など、先駆的な実践研究で重要な役割を果たしてきたが、修了生からは「理想とは程遠い研究生活だった」との声も。大学側の対応次第では専門的人材の供給スキームが崩れ、国際プロジェクトにも影響を与えかねない。 「芸術界の東大」とも称される東京芸大。女性教授によるアカハラ疑惑が浮上し、学生の募集が停止された大学院文化財保存学専攻の研究室は、芸大の看板の一つだった。 山梨県立美術館が所蔵するミレー作「種をまく人」の修復や、平成23年の東日本大震災で被災した芸術作品の修復事業、アフガニスタンから流出していた壁画片を修復、返還する国際プロジェクトの中核を担うなど、国内の油画の保存・修復研究をリード。高度で専門的な技法