笹岡 貴史、乾 敏郎 京都大学 情報学研究科 DOI:10.14931/bsd.1058 原稿受付日:2012年4月24日 原稿完成日:2012年5月6日 担当編集委員:入來 篤史(独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター) ShepardとMetzlerの実験 1971年、ShepardとMetzlerは実験協力者に立方体のブロックを3次元的に結合させて作成した物体のペア(図1左)を見せ、それらが同じ物体であるか判断させる課題を行わせた[1]。ここで、二つの物体が同じ物体の場合は一方をある角度回転させると他方の物体と一致するが、二つの物体が互いに鏡像になっているペアの場合もある(図1左下)。ShepardとMetzlerはこの回転角度を様々に変化させて、二つの物体が同じ物体かどうか実験協力者が判断するまでの反応時間を測定した。その結果、二つの物体の回転角度の差が大きくなればなるほ