「憲法改正=九条改正」と思っていませんか? 憲法九六条を改正して,改憲しやすくすることにはどういう問題があるのか.自民党の「憲法改正草案」のどこが問題か.一線の研究者たちがわかりやすく徹底解説.近時の改憲論のディスコースが,九条問題にとどまらず,私たちの自由・個人の尊重,立憲主義といった,近代憲法が育んできた理念と抜き差しならない緊張関係にあることに警鐘を鳴らす. ■編集部からのメッセージ 昨年(2012年)末の総選挙を受けて発足した安倍政権は,憲法改正の意欲を示し,「まず,憲法96条から改正する」としています.すでに衆議院では改憲勢力が3分の2以上の議席を確保していることから,7月の参議院選挙の結果次第では,憲法改正が具体的政治日程に上ることが考えられます. これまで憲法改正といえば,イコール9条問題と考えられがちで,96条の改正が何を意味するかについてはメディアではほとんど議論されてき