12月の1日,2日と第5回の人間行動進化学会が開かれた. HBESJは正式に学会になってから京都,福岡,神戸,札幌と地方開催が続いていたが,今年は久しぶりに東京に戻っての駒場開催.会場は新しくできた21 KOMCEEなる建物.13時スタートと言うことで駒場に少し前にたどりつくといきなり雨など降り出して,銀杏並木も晩秋から初冬の雰囲気をよく出している. 大会初日 12月1日 まずは会長である長谷川眞理子からの挨拶. 今回は学会になってから5回目ということで節目の大会.その前の研究会の頃からヒトについても進化的な視点でいろいろ理解できるのではないかということでやってきた.さすがに今日では社会生物学論争の時のような「人間について生物学を持ち出すとはけしからん」というような反応は見られなくなったが,しかしヒトについての進化的な理解というフレームはあまり広がっていないというのが現状だ. 何故なのだろ
2012年12月11日 ヒレはどのように脚へと進化したのか 背景: 生物は単細胞生物から進化を続けて高い知能や社会性を持つヒトにまで進化した。その過程では多細胞化や神経(脳)の獲得など、様々なブレイクスルーがあり、陸上へ進出するための脚の獲得もその1つに数えられる。 要約: 水の中にのみ生息していた脊椎動物が陸へ上がった出来事は、生物の歴史の中でとても重要な地位を占めている。一般的に、魚のヒレが陸上生活へ適応 するために脚になったと考えられているが、その進化はどのような過程で起こったのだろうか。この度、スペインにあるパブロ・デ・オラビデ大学のJose Luis Gomez-Skarmeta博士らによって、脚は特定の遺伝子を活性化する新たな遺伝子の獲得によって発生したであろうことが示された。 Gomez-Skarmeta博士によると、この発見によって遺伝子発現のコントロールが、生物の体を形作
かの大震災から1年と9ヶ月。地震が起こったのは、札幌開催の生態学会において自身が企画していた「種間相互作用の島嶼生物地理」での講演の最中でした(参考:「種間相互作用の島嶼生物地理」を企画)。その企画集会の内容をもとに、学会の和文誌に特集記事として、講演者4人によって執筆したものが出版されました。 このように特集記事をまとめるのははじめでしたので、参考までに簡単にその流れを書き留めておきます(もちろん、学会によって異なると思います)。まず、私自身が学会における集会を企画し、講演をして欲しい人に打診し承諾を頂いた時点で企画案を大会の担当者に申請しました。無事企画が受理され、その後和文誌編集長の方から、企画内容を特集記事としてまとめてみる可能性があるかどうかを打診されました。講演者の方々にその旨を伝え、特集記事としてまとめる承諾を得て、改めて特集記事の企画を編集部の方に申請し受理されました。そし
会議のためにアムステルダムに来ています。昨日は早朝に到着して、市内のホテルにチェックイン。昨晩から雪が降っていたようです。一息ついてからアムステルダム大学にセミナーに行きました。 機内では、忙しくて読む暇がなかった論文を読みました。私の専門分野の論文のほかに、ひとつ読んだのがフリーマン・ダイソンさんとウィリアム・プレスさんのかかれた「囚人のジレンマ」の新しい戦略です。⇒ 米国科学アカデミー紀要 ダイソンさんは、1940年代の終わりに、ファインマンが開発したくりこみの方法が朝永やシュビンガーの方法と同じであることを示したことで有名です。今年で89歳。プレスさんは、天体物理学者でしたが、最近は生物学の研究もなさってます。 囚人のジレンマはゲーム理論の典型的な模型で、協調したほうが全体に有利なのに、個人の利益を追求することで不利な状態が安定してしまうことを示す例になっています。 たとえば、何かの
2012年12月08日 マゴットセラピーはなぜ有用なのか 背景: マゴットセラピーはウジに傷口の死滅した組織を食べさせることで、傷の回復を早めようという医療技術であり、医学の発達していなかった時代によく利用されていたが、現在では代替医療の1つとして再び注目を集めている。 要約: ハエの幼虫であるマゴット(ウジ)はとても気持ちの悪い見た目をしているが、その高い治癒・鎮痛作用から、何世紀も前から戦場での医療行為に利用されている。ウジは健康な組織はほとんど傷をつけずに死滅した組織を効率よく消費してくれるため、傷口へと導入することでその部分をきれいにし、感染症や炎症も抑えてくれる。 例えば、ナポレオンの軍隊でも医者はウジを利用することで傷口の洗浄を行い、第一次世界大戦ではアメリカのWilliam Baer医師によって、ウジによる治療を受けた負傷者はそれ以外の負傷者に比べて、感染症や炎症を起こす確率
科学, 人間2日の日経新聞にあくびの話が掲載されていました。 性のメカニズムと関係も? 「あくび」のヒミツ働きもののカラダの仕組み 北村昌陽あくびの生理に詳しい脳生理学者の有田秀穂さんへのインタビュー そして1日にマット・リドレー(進化生物学や遺伝学、社会学のサイエンスライター)もちょうどあくびの話をブログに書いていました。ウォール・ストリート・ジャーナルでのリドレーのコラムだそうで。 The mystery of why we yawn リドレーのブログThe Unsolved Mystery of Why You Just Yawned WSJのほう 内容は一緒です。翻訳してみました。 私たちはなぜあくびをするのか?あくびは伝染するが、生理学的に意味がないように思われる 科学者が遺伝学や生理学、進化生物学的に、あるいは神経レベルで説明できるようになったにもかかわらず、動物の行動や習性に
高分子生体物質で、地球上のある程度の生物において、遺伝情報を担う物質となっているDNAですが、その形状が二重らせん構造であることは有名です。しかし、これまで実際に写真で撮影されることはありませんでした。 ところがこのほど、電子顕微鏡でDNAの撮影に成功し、二重らせん構造であることを目で見ることが可能となりました。 DNAの二重らせん構造は、分子模型を構築する手法を用いて1953年にジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックによって提唱されました。 このDNA分子模型の構築は、モーリス・ウィルキンスとロザリンド・フランクリンによってすすめられていたX線結晶構造解析の画像及び解析情報やエルヴィン・シャルガフによって示されていたDNA塩基存在比の法則などのDNAに関する既知情報をすべて満足させるように配慮しながら行われました。当時、既にDNAが遺伝物質の正体であることは実験的に示されていましたが
パックマン30周年を記念して行われるビッグ対談企画。第3弾はポケットモンスターのクリエイターとしてあまりに有名な田尻智さんと、ミュージシャン・作家・タレントのいとうせいこうさん、さらに司会に伊藤ガビンさんを迎えた豪華なメンバーでパックマンについてたっぷりと語っていただきます。 ガビン今日はプロゲーマーだった時代の田尻プロに戻ってもらってお話しをお伺いしたいと思います。 いとう黒帯の田尻さんにお願いしますよ。(笑) 田尻よろしくおねがいします。 ガビンまずはパックマンとの出会いから聞かせてください。 田尻1979年頃にギャラクシアンが出て、80年にパックマンが出ました。まさにその頃はナムコの黄金時代ですよね。毎日ゲームセンターに行ってビデオゲームをやっていました。当時のナムコは新しいゲームとは「動詞」を提案することだというコンセプトがあって…… ガビンそれはどういうことですか? 田尻例えばデ
2012年11月28日 小記事:スイカの全ゲノム解読 スイカは果物の1つとして世界中で親しまれている。スイカの起源は4000年前のエジプトにあると考えられ、乾燥地帯での水分の源として利用されていた。現在では世界中で400種以上のスイカが栽培されている。栄養学的には、ビタミンAやCが豊富に含まれており、また癌を防ぐと言われるリコペンやアミノ酸の1種であるシトルリンが含まれている。 この度、アメリカ、中国、ヨーロッパからの共同研究チームによって、スイカの全ゲノムが解読された。栽培されているスイカには23440の遺伝子が含まれており、これはヒトの遺伝子数とほぼ同じ数であった。また20種のスイカを比べることで、色や味、形などがどこでどのように変化していったのかが示された。 またスイカは野生から栽培化させる過程で、病気へ対抗するための多くの遺伝子が失われてしまったようだ。そのため今回得られたゲノムの
2012年11月26日 小記事:筋力の強さと死亡率 死亡率を上昇させる要因として青年期の高BMIや高血圧がよく知られている。この度、スウェーデンにあるカロリンスカ研究所の研究チームによって、青年期に筋力の弱かった人々は若年での死亡率が高くなることが分かった。16~19歳の100万人以上のスウェーデン人青年が対象となったこの調査では、 BMIや血圧とともに筋力の強さが計測され、その後24年間に渡って調査が行われた。 若年での死亡は55歳以下での死亡と定義付けられ、調査期間中に26145人(2.3%)の人々が亡くなった。死亡原因は自殺が22.3%と最も高く、14.9%の癌、7.8%の心血管疾患と続いた。調査の結果、青年期に強い筋力を持っている人々は弱い人々に比べて、20~35%も死亡リスクが低 くなることが分かった。これは以前からよく知られている、高BMIや高血圧と同程度の死亡リスクの増加であ
先日、周りから読め読め言われていたOrson Scott CardのEnder's Gameをついに読んだのだが、読んでいて途中気になったことがある。 なんか長いのだ。300ページちょいの本なのに、なんかやたらとイベントがあるし、仕事の合間に読んでいたとは言え、なんだかんだいって読了するのに5、6日かかってしまった。別に僕はそこまで読むのが速いほうではないが、日本語で300ページなら、せいぜいかかっても2、3日だし、英語を読む速度が日本語を読む速度の半分というのは、今となっては考えにくい。 気になったので、Ender's Gameの日本語版を探してみたところ、ハヤカワ文庫から出版されていた。でもってページ数を見てみると540ページとなっている。原書が320ページほどだから、540/320〜1.7倍のページ数ということになる。逆に言えば、英語版の方が、日本語版より、1ページの情報量が1.7倍
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2012年11月20日 テロメアの長さと死亡率 背景: ヒトは性染色体を含めて23組の染色体を持っており、それぞれが何百何千という遺伝子をコードしている。染色体の端にはテロメアと呼ばれる部位が存在し、複製時に染色体を変異から守る働きをしている。テロメアは加齢とともに短くなることから、老化と深いかかわりがあると考えられている。 要約: テロメアは染色体の端に位置し、染色体を複製時のエラーから守る働きをしている。テロメアは染色体の複製ごとに短くなることから、老化や様々な疾患と深い関係にあると考えられている。しかし実際にテロメアの長さと健康状態には相関関係があるのだろうか。 カイザー・ペルマネンテやカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究チームによって、健康へのテロメアの役割についてこれまでで最大である11万266人の人々を対象にした調査によって、テロメアが短くなった人々では死亡率が高くなるこ
この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。 出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方) 出典検索?: "国際動物命名規約" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL (2021年9月) 国際動物命名規約(こくさいどうぶつめいめいきやく、International Code of Zoological Nomenclature、ICZN)とは、動物命名法国際審議会 (International Commission on Zoological Nomenclature, ICZN) による、動物の学名を決める際の唯一の国際的な規範である。同様の任にある国際藻類・菌類・植物命名規約、国際原核生物命名規約とあわせて、生物の学名の基準となって
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