この本は著者の第2作にあたり1984年に刊行された。当時和歌山大学講師であったが、31歳。浅田彰「構造と力」の26歳にもびっくりしたが、この著者の年齢にも驚いた。まあ、なんとたくさんの本を読んでいること、それにびしびしと評価を与え、明晰な論理を展開していくこと(そのかわりあまりに展開が早いので、自分は消化しきれないままになってしまった)。この本でもとても中身の濃い議論が進められるので、充分注意深く読むことが要求された。廣重徹、中山茂を後継してこの国の科学(社会)史を展開していくのだろうと思って、この人には興味を持っていた(でもすみません、他のことに興味を奪われて、2冊しか読まなかった)。中山茂「科学技術の戦後史」(岩波新書)で科学技術の日本型モデルを提唱しているが、そのアイデアには著者も参加しているはずなのだ。最近知ったところでは、科学社会史からこの国の原子力発電の社会史、研究史に移ったと