取引先の社員を引き抜こうとした上司の行為を社内のコンプライアンス(法令順守)窓口に通報した結果、不当な異動を命じられたなどとして、精密機器メーカー「オリンパス」(東京)社員の浜田正晴さん(50)が、同社などに異動の無効確認と1000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が31日、東京高裁であった。 鈴木健太裁判長は「異動は、上司が原告の内部通報に反感を抱いて業務とは無関係に命じたもので、人事権の乱用にあたる」として原告敗訴の1審・東京地裁判決を変更し、同社側に異動の無効と220万円の賠償を命じた。 判決によると、営業担当だった浜田さんは2007年4月、上司が取引先の鉄鋼メーカー社員を引き抜こうとしていることを把握。企業倫理に反すると考え、上司に中止を求めたが聞き入れられず、同6月に社内のコンプライアンス窓口に通報した。浜田さんは同10月、それまで経験のない部署に異動になり、外部との自由接触