貨幣の歴史は古い。現代の紙幣は、金や銀の預かり証である金匠手形が、17世紀にスウェーデンで国家承認されたのが始まりとされる。鋳造貨幣は、紀元前7世紀にリディア王国でエレクトロン貨が造られている。商品貨幣はさらに古く、紀元前18世紀頃に書かれたハンムラビ法典を見ると銀を商品貨幣として使っていたのが分かる*1。紀元前36世紀のシュメール人も少なくとも価値尺度財として銀を使っていたようだ*2。 商品貨幣が現れる前はどうかと言うと、物々交換が行なわれていたと漠然と考えている人が多いかも知れない。経済学の祖とされるアダム・スミスは、物々交換経済で分業を推し進めると取引コストがかさむので、貨幣が発明されたと主張していた。しかし現代の人類学者はこれを間違いと考えていて、貨幣経済の前に物々交換を日常的に行なう経済が存在したとはしていない。 "The Myth of the Barter Economy"と