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ブックマーク / yoghurt.hatenadiary.com (13)

  • 東京の砂漠(OHT.6) - 飲めヨーグルト

    砂漠を、なめていた。ミルクを流したような霧が視界を覆うこの天上世界では、方向音痴なおれの感覚など全くあてにならないから、おれは石で記された登山道から一歩も外れることができなくなってしまう。吹きすさぶ砂塵が、おれのカメラのAFを狂わせる。無限遠では、もうまるっきりピントがあわない。ダストリダクションでも排除することのできないゴミがセンサーにへばりついてゆく。 目の前の光景は信じられないくらいに美しいのに、それらをうまく写真におさめることはできそうもない。三脚をおさめたザックが疲れた身体に重くのしかかる。三脚と雲台、あわせて2キログラム。おれはひどくのどが乾いている。残った水は、500ミリリットルのペットボトルに半分ほど。使いもしない三脚を置いてくれば、代わりに水を2リットルも持ってくることができたはずだ。おれは思う。どうしてこうなった……。 金曜の、夜。残業を放棄したおれは部屋に戻ってシャワ

    東京の砂漠(OHT.6) - 飲めヨーグルト
    shadow-toon
    shadow-toon 2011/08/06
    火星みたい
  • せめて、もっと人殺しの顔をしろ - 未来の蛮族

    TVでは、芸能人が我々に呼びかけている。「デマに騙されないようにしよう」ずいぶんと難しいことを言ってくれる、とおれは思う。デマに騙されようと思って騙される人間はいない。みな、正しいことをするつもりで間違えるのだ。 芸能人たちはこんなことも言っていた。「被災者の気持ちになって考えよう」確かにこれは大事なことだ。けれど、難しい。とりわけおれのような人間にとっては。おれは頭が悪いから、福島の原発について、土地を奪われた人間の気持ちをほんとうには想像することはできない。ただ、自分に置き換えて考えてみることしかできない。 もしも、自分の住む街に原子力発電所があったらどうだろう? 自分の故郷が、放射性物質に汚染されてしまって、二度と帰ることできなくなってしまったらどうだろう? しかも、その原子力発電所は遠く離れた東京に電気を供給するための施設なのだ。なぜ、自分たちだけが、東京の犠牲にならなければならな

    せめて、もっと人殺しの顔をしろ - 未来の蛮族
  • 黄金町バザール - 未来の蛮族

    ピンぼけもやむをえないほどの愛らしさ。 高架下に、意味ありげなしるし。 意味なさげな雑巾。 ※参考 今年の黄金町バザールは、とにかく日ノ出竜宮へ 「黄金町バザール」とは結局なんなのか

    黄金町バザール - 未来の蛮族
  • 悪人 - 未来の蛮族

    2時間半近い上映時間が非常に長く感じられたのは確かで、おそらくもう二度観る事はない映画だろうとは思うんだけど、闇に沈む三瀬峠と、そこを走り抜けてゆく白いGTRの姿、おれはおそらくその光景を何度も思い出すだろうし、それだけで十分観に行った甲斐はあった。しかし、原作を読んだときから思っていたのだが、夫木演じる清水青年は、なぜに料理が来る前にあんな重大な告白をしてしまったのだろう。*1あんなことを言われてしまったら、せっかくのイカ料理にも手をつけられなくなってしまうじゃないか。重たい沈黙の中で、清水青年がイカの眼を見つめることしかできなくなってしまったことは十分理解できるが、イカの眼に吸い込まれるようにして回想が始まってしまったときは正直どうしようかと思った。しかし、振り返ってみれば、あの演出も悪くなかったように思う。 国道生まれ*2のおれにとっては、この映画の持つどん詰まり感には非常に身につ

    悪人 - 未来の蛮族
  • 神殿 - 未来の蛮族

    神殿 - 未来の蛮族
  • 足尾銅山には早すぎる(OHT.5) - 未来の蛮族

    レベル上げ、というものを一切やらない子供だった。おれは。ゲームは一日一時間、という昭和の家庭にありがちなルールに縛られていたおれにとっては……レベル上げなんて時間がもったいなくって、とても出来たもんじゃなかった。でも、そのうち、弱いままで荒野を旅することが楽しくなってきた。貧弱きわまりないおれのパーティにとっては、「さまようよろい」辺りのモンスターであっても恐ろしい強敵で、新しい町を探すことさえもが毎回いのちがけの挑戦だった。この一撃で相手が倒れなければこちらが全滅する、というシチュエーションでカンダタを倒したときの興奮は、今でも忘れられない。 そんなこんなで味をしめてしまったおれは、長じてからも出たとこ勝負を好むような人間になってしまった。そう機転の利くタイプでもないくせに、計画と準備なんてカッコ悪いね、なんて風に思うようになっていた。のんきなおれはすっかり忘れていた。ゲームと現実は違う

    足尾銅山には早すぎる(OHT.5) - 未来の蛮族
  • この町に生まれたら……宿根木 - 未来の蛮族

    佐渡ヶ島、宿根木。 ここは当に静かな町で、歩いていても自分の足音と小川のせせらぎしか聞こえない。たまに我々のような観光客がやってきて、やかましくおしゃべりをまき散らしてみたりもするんだけど、あまりにも町が静まりかえっているせいで、みんなすぐに黙り込んでしまう。カメラのシャッター音さえ気がとがめてしまうくらいだ。 知らない町を訪れるたびに、『もし、自分がこの町で生まれ育っていたら、どんな子供になっていたんだろう』なんてことを考えてしまう。故郷の以外のどこで生まれたとしても、きっと今の自分とは全然違う性格になっていたのだろう。そうやって、来ありえたかもしれない人生を空想するのを好むのが、今の自分が身につけている性格で、我ながら当に暗いな、やっかいな人間になってしまったなあ、と思う。今の自分とは全く違う子供を育ててくれそうな町としては、これまで神戸と富士吉田が圧倒的な二強だったのだけど、宿

    この町に生まれたら……宿根木 - 未来の蛮族
  • おれたち秘境探検隊―大電波塔に眠るまぼろしの美獣― - 未来の蛮族

    とある事情で、東京都民と暮らしている。僕のようにわがままな人間が他人と共同生活を営もうというのだから、そりゃあ、不満は当然のようにたまってくる。 何よりも腹が立つのは、都民が何かにつけて僕を田舎者呼ばわりすることだ。確かに、僕の地元はひどい田舎にあって、屋もCDショップもレンタルビデオ屋も無いような文化的砂漠だったけれども、だからといって都民にバカにされるいわれはない。 だいたい、この都民は都民といっても足立区民なのだ。別に足立区をバカにするつもりはないけれど、やはりどうしても引っかかるものがある。足立区なんて、ほとんど埼玉みたいなもんじゃないか。いや、別に埼玉をバカにするつもりも毛頭ないのだけれども……。 とにかく、僕はムカついたのだった。 「何を言っているんだい、君は。だいたい、日で一番田舎なのは、どう考えても東京なんだぜ」 売り言葉に買い言葉というやつで、僕はそんなことを口走って

    おれたち秘境探検隊―大電波塔に眠るまぼろしの美獣― - 未来の蛮族
  • 夢見るブロガー、木造校舎で怪魚と闘う - 未来の蛮族

    突然、何もかもが嫌になってしまったので、たらい舟に乗ってid:hey11popさんと佐渡が島に行ってきました。 たらい舟を縦横無尽に操るガール。正直なところ、どういう原理で前に進んでいるのかさっぱりわかりません。 しかし、どういう原理で前に進んでいるのか分からないのは我々の人生も全く同じ。 前に進む、と言えば聞こえはいいものの、実際のところは、いつかは訪れる死に向かって漫然と流されているだけに過ぎません。 このままではいけない。 そう思えばこそ、我々は佐渡を訪れることを決意したのです。 古の人々は黄金を求めて佐渡に渡ってきたといいますが、我々は彼らよりもずっと欲深です。 我々の求めるものは、黄金以上に価値あるもの。 すなわち、このクズ社会で失ってしまった我々自身の心にほかなりません。 「失った心を取り戻したい」 そう願う我々は、たらい舟ガールとともに、ある小学校に辿り着いていました。 木造

    夢見るブロガー、木造校舎で怪魚と闘う - 未来の蛮族
  • ぜんぶ、ストIIのせい - 未来の蛮族

    USSR!飛行機がザンギエフステージに向けて飛び立つ瞬間に鳴り響く、あのボイス。 USSR。幼かった僕は、それがソヴィエト連邦の略称であることさえ知らなかった。 僕の辞書はナポレオンもびっくりするほど白紙のページばかりで、不可能も可能も全く掲載されてはいなかった。これから書き込んでいかなければならないことが山ほど残されていた。そんな僕が知っていた、数少ない真実。 それは、ストリートファイターに登場するキャラクターは、みな最高だということだった。以前、SNKのキャラクターデザインのことを、口を極めて罵ってしまった僕だけれども、格闘ゲーム界のもう一方の雄であるCAPCOMの「ストリートファイターII」のキャラクターデザインについては、悔しいけれど・おまえに夢中と言わざるをえない。 ダルシム、ブランカ……ほんとうに、僕は彼らが大好きだったのだ。 *1 けれど、彼らのことを思うとき、少し後ろめたく

    ぜんぶ、ストIIのせい - 未来の蛮族
  • おれたち秘境探検隊vol.3―死の海岸と秘境の果て― - 未来の蛮族

    海に行くつもりじゃなかった。嘘だ。完全に行くつもりだった。行くつもりで、行った。 我々には、海に行かなければならない理由があったのだ。 話は前回の探検にまで遡る。 「何も山奥ばかりが秘境じゃない。どこだって秘境なのだ。自分が生まれ育った実家でさえも……。」 隊員Aはこの世界をあまりにも正しく理解してしまった。 この世界の当の姿。それはとうてい常人に耐えられるような代物ではない。。 酷薄なまでの真理が、隊員Aの神経をギリギリの領域まで追い詰めてしまった……。 「ねえ、ヨグ原さん、どこだって秘境、自分の家だって秘境だって言うのなら……僕たちはもう、どこにも行かなくてもいいんじゃないですかねえ? もう、どこにも行けないんじゃないですかねえ……」 隊員Aは、もはや僕の目を見ようともしなかった。まるでつまさきにでも語りかけているかのように、彼はうつむいていたのだった。 秘境は、真理と引き替えに、彼

    おれたち秘境探検隊vol.3―死の海岸と秘境の果て― - 未来の蛮族
  • おれたち秘境探検隊vol.1―東京の廃村― - 未来の蛮族

    幼児性の抜けきっていないおれは、傘を持つたびに自分を剣士だと錯覚してしまう。しかも、実際は幼児以下であるところのおれは、自分がどのような剣士であるのかさえもあやふやなままで、一歩ごとにサムライになったり、ナイトになったりする。もちろん、おれは剣士ではない。誰だって剣士ではない。しかし、傘を持ったときでさえ剣士になれないような石ころ野郎に、いったい何の用があるというのだろうか。少なくともおれはそんな人間には興味がない。 そんな事ばかり言っているから、おれの周りからまともな人間がどんどん離れていってしまったのだろう。今では、視界に入るのは妙ちきりんな人間ばかりだ。妙ちきりんといっても、彼らは、そしておれは、妙ちきりんなままでこの社会を生き抜くことなどできないことを知っている。 おれたちはきっと、陸に上がった魚のようなものなのだ。海の不在に口をぱくぱくさせながら、大地に点在する沼地を渡り歩くこと

    おれたち秘境探検隊vol.1―東京の廃村― - 未来の蛮族
  • ひとりでいい、と言って欲しかった - 飲めヨーグルト

    いじめ。学級崩壊。人類が21世紀を迎えてもう何年も経つというのに、教育現場では僕の子供時代と何ら変わることの無い問題が繰りかえされ続けているようだ。この辺りの問題は、単に教育問題というよりも、人類全体がずっと抱えてきた病気みたいなもんだから、さすがに一発で解決する方策を見出すのは難しいだろうと思う。ただ、少なくとも日の学校教育においては、これらの諸問題を軽減する方法はあるのじゃないかと思う。それは子供たちに、ひとりぼっちでいることを許してあげることだ。 子供のころの僕にとって、学校を嫌いになる理由なんて無数にあったけれど、その中でも最も大きなもののひとつは、学校の中では、孤独が禁止されているということだった。構造として、制度として、学校はそういう風に作られている。学校の中で、ひとりぼっちでいると、ほんとうにみじめで寂しい思いをすることになる。大人になってから分かったことだけど、そのとき感

    ひとりでいい、と言って欲しかった - 飲めヨーグルト
    shadow-toon
    shadow-toon 2008/06/06
    ひとりたのしー
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