例の衝突動画を一目見て、私は 「あちゃー」 と思った。 画面の中で起きている出来事に驚いたのではない。 映像は、案の定だった。 思っていた通りのイリーガル・アタック。中華アスリートのプレースタイルを見慣れた者の目には毎度おなじみのカンフー・スタンダードってヤツだ。ペナルティーエリア内での唐突なスライディング。それもブラインドサイドから急所を狙って繰り出される挺身タックル。一発退場モノの悪質ファウルだ。想定通りの少林寺航法。やりたいことはやっチャイナ。食えるモノなら食っチャイナ。どこにも驚くべきポイントはない。 私が衝撃を受けたのは、自分自身の無能さに対してだった。 というのも、私は、問題の映像が動画サイトにアップされる事態をまったく想定していなかったからだ。 なんという迂闊。 あってはならないことだ。 だから、スタートボタンをクリックして0コンマ2秒後には、自問自答を始めていた。 「どうし