シンガポールの合計特殊出生率は1.25。日本の1.42よりも低く、少子化が深刻な問題になっている。だが、国の将来は明るく、市民は老後に不安を抱いていない。なぜ日本とは状況が違うのだろうか。そのポイントは女性やシニアがいきいきと働ける仕組みづくりだ。共働き率9割、67歳まで賃金は減らない、というシンガポールの取り組みについて、現地に住むファイナンシャル・プランナーが解説する――。 ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。私はテレビや雑誌でコメンテーターの仕事をしていますが、夫の転勤で、2015年に当時1歳の娘を連れてシンガポールに移住しました。シンガポールに住んでみると、日本よりも進んでいて快適で合理的なところが多く驚かされました。 何より驚いたのは、日本より深刻な少子高齢化社会なのに、労働力の確保、金融システムの発達、次世代の人材を作る教育などで、明るい未来を描けていたことです。拙著『