さて、「仲間内の賞賛」に価値が高いことは、経済学者の世界だけに限るわけではない。他の学問でもそうだろうし、各種の芸事やスポーツ、文学やアートの世界でも同様だ。 「私は、仲間の評価ではなく、自分自身の作品(研究)に満足しているので、他人の評価は自分の幸福感に関係ない」と言い張る人がいたら、「それは勘違いでしょう。もう少し素直に考えましょうよ」と言いたい。 そもそも、学問にせよ、芸術にせよ、スポーツやゲームであっても、どのジャンルにせよ過去から現在にかけて多くの他人が創り上げてきたものだ。 どんな芸術性があり、どんな研究が研究として価値を持つかといった諸々が他人にすべてを決められているものではないにせよ、他人の価値観(つまり他人の視線)の影響を受けている。 価値観として個人が自分の自由や創造だと考えているものは、他人が築いた価値観にごく小さなものを付け加えたか、いくつかの選択肢の中から何かを選