耐震強度偽装事件を受けた6月の建築基準法改正により、全国の建築現場で大きな混乱が続いている。二重チェック制の導入など着工前の審査(建築確認)が厳格化され、手続きが著しく滞っているためだ。住宅着工数は落ち込み、国内総生産(GDP)を押し下げる要因にもなっている。米国の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題の波及や原油価格の高騰などと並び、いまや国内景気を揺るがす懸念材料の一つに。「官製不況」の声を振り払うべく政府は対応に重い腰を上げたが、先行きはなお不透明だ。 ■暗い影 11月に横浜市内の住宅建設現場で行われた地鎮祭。東京都大田区の工務店「創建舎」に地下1階、地上2階の住宅建設を依頼した夫婦は、ややうんざりした様子で「疲れたよ」とつぶやいた。 夫婦は7月に古い家を解体し、仮住まいで生活を始めた。建築基準法改正の影響で、建築確認申請に必要な構造計算に時間がかかり、申請は9月に