【パリ=林路郎】フランスのベルサイユ宮殿で、マンガやアニメをもとにした作品で知られる現代美術家・村上隆さん(48)の個展が14日始まる。 これに対し、地元の極右団体が「世界で最も美しい宮殿は広告塔でない」などと反発、抗議運動を行っている。 個展は宮殿側が村上さんに依頼したもので、期間は約3か月。「鏡の間」や庭園などに計20点のオブジェを展示する。村上さん制作のカーペットや壁紙のほか、アニメを紹介するビデオも上映する。 反対しているのは、「ベルサイユ――私の恋人」と名乗る極右系の2組織。約4000人分の署名を集め、個展中止を求めて仮処分を申請した。14日には宮殿前での抗議集会を呼びかけている。両団体は宮殿での現代美術展の開催に、ことごとく反対してきたという。主催者側は、「宮殿はアンシャンレジーム(旧体制)への郷愁を収める遺物箱ではない」と反論している。