湊かなえによるベストセラーのミステリー小説の映画化。とは言え、原作を単純に映像化せず、中島哲也独特の演出によって大幅に原作と印象が異なる出来になった。それは、5年、10年に一本の出来と言ってもいい。 物語は、ある中学校の終業式の日から始まる。1年生を受け持つ若い女性教師・森口悠子(松たか子)は、ホームルームの時間に、学級崩壊のごとく大はしゃぎする生徒たちに、滔々と話し続ける。数ヶ月前、学校のプールで幼い娘を失った彼女は、その死が事故によるものではなく、このクラスの生徒2人・少年A(西井幸人)と少年B(藤原薫)による殺人だと“告白”し、そのプロセスについて説明する。 以降の物語は、少年Bの母親(木村佳乃)、同じクラスの少女(橋本愛)、少年A、それぞれの独白=告白がシャッフルされて描かれていく。原作で言えば、1章はそのままで、2章以降がミックスされて進んでいく。冒頭の30分を除けば、ほとんどは