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ブックマーク / kaikaji.hatenablog.com (8)

  • 文化大革命の「新常識」 - 梶ピエールのブログ

    今年は文革50周年ということもあって、文革をテーマにしたシンポジウムや雑誌の特集、書籍など、地味ではあるが様々な再検証の試みが行われてきた。その中でも、12月23日にNHKBSで放送されたドキュメンタリー「文化大革命50年 知られざる“負の連鎖”〜語り始めた在米中国人」は画期的な内容だった。番組のベースになっているのは、徐友漁らアメリカ在住の「文革世代」のリベラル派知識人の証言と、スタンフォード大のアンドリュー・ウォルダー教授による、中国の地方誌に記された情報を丹念にデータベース化する中で得られた研究成果である。近年の文革研究は、明らかにアメリカを中心に進められてきた。彼ら在米の研究者たちによって、従来の常識を覆す新事実が次々に明らかにされてきたからである。日でも、ウォルダー教授の研究チームに加わっていた神戸大学の谷川真一氏らが近年精力的に研究成果を発表しており、その内容は研究者の間では

    文化大革命の「新常識」 - 梶ピエールのブログ
    shibusashi
    shibusashi 2016/12/29
    『文革における死傷者を伴う「暴力」には三つの異なる種類のものが含まれる。(略)この「第三の暴力」すなわち革命委員会による粛清の犠牲者こそが、文革期を通じて桁外れに数が大きいことを明らかにした。』
  • 2011年・中国経済の展望 - 梶ピエールのブログ

    あけましておめでとうございます。 昨年12月の共産党政治局会議、およびその後の中央経済工作会議で約二年ぶりに「適度に緩和的」な政策スタンスからの転換が打ち出され、そこから間髪を要れずに政策金利の引き上げが行われたことで、これから中国はインフレと高成長のバランスをどうとるのか、ということが改めて注目をあつめている。そこで、以下では新春らしく、簡単に今年の中国経済のマクロ的な展望を分析しておこう。 中国のマクロ政策を考える上でとても重要だと思われるのに、ほとんど言及されることがないのがCPIから生鮮料・エネルギーの上昇分を取り除いたコアCPI(日におけるいわゆる「コアコアCPI」)の動向である(上図の赤い折れ線。データはCEICより入手)。 これをみると、リーマンショック前、CPI(青い折れ線)のかなりの上昇が見られた状況の中でもコアCPIは1%を若干上回る水準でほとんど変動していないこと

    2011年・中国経済の展望 - 梶ピエールのブログ
  • サヨウナラ、産経新聞。 - 梶ピエールのブログ

    産経新聞は長らく僕の愛読紙の一つだった。このブログでも検索してもらえれば過去記事のなかに産経新聞からの引用が結構多いことがわかるだろう。といっても必ずしもその主張に共感していたわけではない。もともと僕の実家は祖母とその姉妹も同じ敷地内に同居していた大家族で、それぞれの嗜好に応じていわゆる5大紙を全て取っていたので、中学生くらいのころから同じトピックについて新聞による報道の違いを比べて楽しむ癖が身についていた、ということがある。 中国研究者のはしくれとして生計を立てるようになってからは、さすがに一人暮らしなので4つも5つも新聞をとるようなことはしていないが、ここしばらくは朝日・日経・産経の三氏の中国報道にはほぼ毎日目を通すようにしていた。ある時期まで、中国政府に嫌われることも厭わない産経の報道スタンスは、他紙との差異化という点で確かに意味があったし、特に台湾および少数民族関係の記事が目立って

    サヨウナラ、産経新聞。 - 梶ピエールのブログ
  • 「天皇に「私(わたくし)」なし」という神話 - 梶ピエールのブログ

    少し前のことになるが、事実上胡錦濤国家主席の後継者と目されている習近平国家副主席が訪問し、天皇との会見を行ったことが、天皇が外国要人と会見する際に通常適用される「1か月ルール」に従っていなかったとして物議を醸した。この事件はいくつかの点で非常に重要な意味を持っていると思うので、ここで改めて考えてみたい。 まず、目立ったのは産経新聞など右派系のメディアを中心にした、これは党内に権力闘争を抱える習近平が天皇の政治利用をしている、けしからん、という論調の批判的な報道であった。 天皇を政治利用している=礼儀知らず、という習氏への否定的なイメージは、たとえばこの後カンボジアの訪問の際に7月5日のウルムチの騒乱の際に亡命し難民申請を行っていたウイグル人20人の強制送還が行われたとの報道により、さらに強化されたかもしれない。 確かに、人道的観点からカンボジア政府の決定が責められるべきものであるのはいうま

    「天皇に「私(わたくし)」なし」という神話 - 梶ピエールのブログ
    shibusashi
    shibusashi 2009/12/26
    『早い話が、「政治利用するな」という批判によって常に政治利用されてしまうのが天皇という存在なのだ』
  • 梶ピエールの備忘録。 - 鈴木謙介氏のウェブ民主主義論

    ウェブ社会の思想 〈遍在する私〉をどう生きるか (NHKブックス) 作者: 鈴木謙介出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2007/05/26メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 8人 クリック: 111回この商品を含むブログ (132件) を見る 鈴木謙介さんのグローバリゼーション論『“反転”するグローバリゼーション』は出てほどなくして買ったのだが、なんとなくピンと来なかったのでそのまま積読になっている。先日、日経新聞に中島岳志さんによるこの書評が載っていたのだが、これを読んでも依然としてピンと来ないままだ。いずれまたちゃんと読んで「なぜピンと来なかったか」ということについて考えてみましょう。 しかし、ほぼ同時に出た『ウェブ社会の思想』の方は面白く読んだ。たとえば、一口に「電子媒体によるコミュニケーション」といっても、それは携帯でメールを送りあうような関係にみられる「過剰な期待

    梶ピエールの備忘録。 - 鈴木謙介氏のウェブ民主主義論
    shibusashi
    shibusashi 2009/10/20
    『「民主的」で「正しい」意思決定を行わざるを得ないように誘導するアーキテクチャーの「工学的民主主義」と、「みんなの意見は案外正しい」という結果が自然に生まれることを期待する数学的民主主義』
  • <中国人>の境界 - 梶ピエールのブログ

    中国の異民族支配 (集英社新書) 作者: 横山宏章出版社/メーカー: 集英社発売日: 2009/06/17メディア: 新書 クリック: 20回この商品を含むブログ (8件) を見る 書は新書ということを差し引いてもその記述がいささか荒っぽく(この文章はそれをさらに荒っぽくまとめているので注意が必要である)、先行研究の記述にそのまま乗っかっているところも多いが、現在に至る中国の異民族支配の矛盾を歴史的観点から理解するには手ごろな一冊だ。 7月5日のウルムチでの事件をめぐって、メディアでは「新疆ではウイグル族への同化政策が行われ・・・」という表現がしばしば使われた。先日のクローズアップ現代(これはよい番組だった)でも、漢語教育強化の様子が放送された。しかし、「同化」をめぐる実態はもう少し複雑である。近代以降の中国では、「同化」すべき<中国人>の枠組み自体が権力の都合によって絶えず揺れ動いてき

    shibusashi
    shibusashi 2009/07/25
    『少数民族やその居住地に対するアファーマティブアクションやバラマキが行われようとも、それが<国民>の「境界」が絶えず揺れ続ける帝国的ナショナリズムの文脈で行われる限り、それは悲劇を再生産する役割しか』
  • 弱者が弱者を食い物にする - 梶ピエールのブログ

    ウルムチの事件に関する報道は今日も続いたが、テレビではやはり「報道ステーション」が頭一つ抜き出ているという印象を持った。たとえば、同じデモ行進をするウイグル人女性を写しても、NHKの報道では彼女らをあくまでも「群体」としてしか捉えていないのに対して、報ステのカメラは、できるだけ一人一人の「個人」の表情に焦点を当て、その「声」を拾い上げようとしていた。デモ隊と武装警察が対峙する緊張した状況の中でこのような取材をするには、かなり志が高くなければできないはずであり、大いに敬意を表したい。 さて、中国事情ブログ界(?)に彗星のごとく現れ、ハイペースで記事の更新を続けている「21世紀中国ニュース」さんが、7月5日の騒乱のきっかけになったとされる6月26日の広東省韶関での事件について、興味深い記事を書いている。 http://21chinanews.blog38.fc2.com/blog-entry-

    弱者が弱者を食い物にする - 梶ピエールのブログ
    shibusashi
    shibusashi 2009/07/07
    『中国語で「弱勢群衆」と呼ばれる権力を持たぬ人々が、さらに弱い人々を蔑視し暴力を振るった。事件はこうした「構造」を内包している。』
  • 7月5日ウルムチでの騒乱に関して - 梶ピエールのブログ

    最初日のメディアは新華社のニュースをそのままタレ流すだけでやはりダメだと思ったが、6日の報道ステーションはかなり時間を割いて双方の言い分を報道するというスタンスで、水谷尚子氏にも取材を行うなど、かなり頑張っていた。ただコメントが加藤千洋氏というのはあまり適任ではなかったと思うが。 ・・とはいえやはりこの件についてはBBCなど英語圏の報道が背景の解説も含めて圧倒的に詳しい。それに引換え、「東洋のBBC」を目指しているはずのNHKは7時のニュースを見る限り広東省韶関での事件にも言及しないなど、かなりお粗末な時間の制約があったとしても不満の残る報道姿勢だった(9時のニュースではちゃんと報道していたようです)。 少し前だが、グアンタナモに収用されていたウイグル人がパラオに移送されたときも、日ではほぼベタ記事扱いだったが、NYTが非常に詳しい報道を行っていた(これとかこれ)。日ごろからの取り組み

    7月5日ウルムチでの騒乱に関して - 梶ピエールのブログ
    shibusashi
    shibusashi 2009/07/07
    『明らかに今回直接の引き金となったのは韶関での事件の映像がネットで流れたことであり、それがなければ今回の事件は絶対に起こらなかったはずだ。』
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