人手不足が深刻化している。人手を確保するには高い給料を支払わなければならず、それが経営を直撃する。最近では「人手不足倒産」なる言葉も聞こえてきた。今、企業の最前線で何が起きているのか。現場を追った。文=経済ジャーナリスト 松崎隆司 人手不足により事業継続を断念 ヤマト運輸の持ち株会社、ヤマトホールディングス(HD)が6月23日、東京都内で株主総会を開いた。山内雅喜社長は冒頭のあいさつで「(過去2年分のサービス残業代の支払いにより)2017年3月期は大幅な減益になったことを株主におわびする」と謝罪し、壇上の役員全員が約5秒間、頭を下げた。 ヤマトHDはサービス残業などで未払い金が230億円も積み上がり、17年3月期の連結純利益は、前期比54%減の180億円だった。今期はさらに6%減の170億円になる見通し。労働時間を管理する新システム導入などのコストがかさむからだ。 きっかけは16年11月、