昨年9月に麻生内閣が発足してからというもの、マスコミは、ことあるたびに、解散総選挙の具体的日程を予測してきた。おそらく選挙直前になると、「あなたの一票が政治を変えます」という手垢まみれの言葉も連呼されるのだろう。 でも、本気で「私の一票」が政治を変えると思っている人がいるとしたら、おめでたいと言うしかない。子供じみたニヒリズムに聞こえるかもしれないが、結局のところ、投票結果から「私の一票」を差し引いたところで、何も変わりはしないのだから。 著者も次のように語る。 〈代議員を選出するだけの、そして、ゴチャ混ぜとなった争点をめぐる投票だけが私のいう「社会をつくる自由」、つまり自らが確かに社会の一翼を担うと自覚するに足る「自由」を発揮することに相当するなどと、誰が思えるだろうか〉 ごもっともである。 じゃあ、どうしたらいいのか。本書は、この困難な問いに果敢に挑んだものだ。 政府系金融機関につとめ
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