送液の働きをするポンプは、微量サンプルの分析や体内埋め込み装置の開発など最先端研究分野において、小型化が求められています。しかし従来法では、電源やワイヤーなどが不可欠なため小型化には限界があります。そこで、理研を中心とした研究チームは、小型ポンプの材料に生体筋肉組織を利用したらどうかと考えました。生体組織なら、電力ではなく栄養や酸素という化学エネルギーのみで機能を発揮でき、使用後に材料は自然に還元されるので、クリーンテクノロジーの目的にもかなっています。 研究チームは、生体組織の中でミミズの体壁筋に着目しました。ミミズは太く短くおよび細く長くできるような体節からなり、これらの体節を交互に動かすことで移動します。ミミズの体壁筋は収縮力に優れるだけでなく、制御性や応答速度にも長けています。 まず、ミミズ筋肉シートの電気刺激に対する収縮力を測定したところ、最大9.3mN、収縮するまでの応答時間は