戦後以来の飲み屋街をたずね、飲み歩き、古老たちの昔話を聞き集めてきた文筆家・フリート横田氏。最新刊『横丁の戦後史』(中央公論新社)が話題ですが、令和の今も、昭和のたたずまいを残す「横丁」があると言います。その歴史をひもとき、現在の姿も見つめるエッセイ。 独特な「気配」が生まれた瞬間 「あの子は19歳で家出してうちに来てね」 ふふふと静かに、温かに笑う、丸眼鏡に口ひげの紳士、外波山文明(とばやまぶんめい)さん。今回私は、新宿ゴールデン街にある外波山さんの店「クラクラ」を訪れた。 外波山さんは長年にわたって営業者たちの組合(※1)の長をつとめてきた街の長老格である。1971年に「はみだし劇場」を立ち上げ、全国各地の街中で芝居をして回るなど、野外劇を中心に活躍してきた俳優・演劇人としての顔も持っている。映画・テレビへの出演も数多い。 劇場という閉じた空間から飛び出して、テント芝居や野外劇など束縛
「松沢呉一」という名前を聞いてピンと来る人は、ある一定の年齢層の人間か、相当のサブカル好きだろう。正直、私(筆者)も編集長から教えてもらうまで、まったく知らなかった。 1958年生まれの松沢氏は、風俗ライターとして主に1990年代に活躍。ヘヴィメタル専門の音楽雑誌『BURRN!』で1993~2001年まで連載していたコラム「アナルは負けず嫌い」をまとめた著書『ぐろぐろ』(ちくま文庫)が2014年に復刊し、話題となった。 さらっと書いてしまったが、「アナルは負けず嫌い」というのもすごいタイトルである。SM、男性器、女性器、食便、飲尿、ゴキブリ、性病、怪談などあらゆるエログロを詰め込んだ伝説的奇書である。 雑誌全盛期を駆け抜けたベテランライターが語る、フリーランスの生き方とは何なのか。じっくり聞いてみた。 新卒で時代の花形だったパルコに就職 松沢氏は愛知県生まれ。3歳で北海道札幌市へ引っ越し、
吉原って、どこにあるんだろう…。ノンフィクション作家の井上理津子さんから、「いま吉原が人気で、週末は吉原神社に若い女性の行列ができている」と教えられ、のぞきに行くことにした。 井上さんは、大阪の飛田遊廓をルポした『さいごの色街 飛田』(筑摩書房、平成23年刊)が評判となった。女友達にそこで働く「おねえさん」の面接を受けてもらい、一緒に「料亭」に上がり込むなど、体当たりの取材が痛快だ。同書は昨年、新潮社から文庫化もされた。大阪から東京に住まいを移した今は、今夏刊行をめざして、取材で吉原に通っているという。 「吉原遊廓」は時代小説や時代劇でおなじみだが、地図を見ても東京に「吉原」という地名は存在しない。ソープ街として名高い現代の吉原は、大方の女性には無縁の場所。東京に住んでいても、これまで吉原に足を踏み入れたことはなかった。 娼妓の治療を目的に設立された吉原病院が前身の台東区立台東病院のすぐ裏
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