吉原って、どこにあるんだろう…。ノンフィクション作家の井上理津子さんから、「いま吉原が人気で、週末は吉原神社に若い女性の行列ができている」と教えられ、のぞきに行くことにした。 井上さんは、大阪の飛田遊廓をルポした『さいごの色街 飛田』(筑摩書房、平成23年刊)が評判となった。女友達にそこで働く「おねえさん」の面接を受けてもらい、一緒に「料亭」に上がり込むなど、体当たりの取材が痛快だ。同書は昨年、新潮社から文庫化もされた。大阪から東京に住まいを移した今は、今夏刊行をめざして、取材で吉原に通っているという。 「吉原遊廓」は時代小説や時代劇でおなじみだが、地図を見ても東京に「吉原」という地名は存在しない。ソープ街として名高い現代の吉原は、大方の女性には無縁の場所。東京に住んでいても、これまで吉原に足を踏み入れたことはなかった。 娼妓の治療を目的に設立された吉原病院が前身の台東区立台東病院のすぐ裏