──20XX年、国論を二分する激論を経て、ついに日本でも「ベーシック・インカム法」が可決された。1年後に施行される同法によって、すべての国民は無条件に、毎月15万円の基本所得を交付されることになる。 街角の声を拾ってみよう。 「ただでさえニートとかいって働かない人がいるのに、怠け者を増やすだけなんじゃないの?」(40代コンビニ店員) 「給付が始まったら、会社辞めてもう一回プロのミュージシャンを目指すつもりです」(20代会社員) 「仕事は続けますよ。給料うんぬんっていうんじゃなくて、仕事を通じて自分が成長するのが楽しいから」(30代会社員) 「生活保護をもらってたんですけど、ベーシック・インカムに一本化されるということで、額は少し下がりました。でも、誰もがもらうということで、罪悪感っていうんですか、自分は社会のお荷物だ、っていう自責の念は少し薄れるような気がします」(20代シングルマザー)