この国を取り巻く光景は「3・11」を境に大きく変わった。原発に依存したエネルギー体制は瓦解、圧倒的な強さを誇ったものづくりは踊り場に立っている。それに、安寧の基盤である社会保障の持続可能性に疑問符がつく一方、統治機構と国民の破鏡も抜き差しならないところに来ている。先送りし続けた宿痾は3・11を経て、加速度的に悪化しているように見える。 この国は過渡期にある。今、直面している現実は従来の価値観や社会システムの変容に伴う痛苦と言ってもいいかもしれない。その先の絵姿は薄霧の向こう。ただ、“新しい何か”を作りだそうとしている人々がいることも確かである。次の時代に、新しい仕組みが生まれるとするならば、こういった人々の試行錯誤の先にあるのではないだろうか。激動のポスト3・11。来るべき世界のクリエイター(創造者)を描く(敬称略)。 長野県富士見町――。2010年に廃校になった旧南中学校の敷地では、ある