農作物に深刻な被害をもたらすシカやイノシシについて、和歌山県は年明けにも野生鳥獣の肉「ジビエ」として全国でも珍しい「格付け制度」を導入する。農作物荒らしの“厄介者”から一転、ブランド肉として特産化を目指す取り組み。ジビエは高タンパク・低カロリーで健康志向の女性に人気があり、新たな観光資源として期待は大きい。 県土の約80%を森林が占める和歌山。野生鳥獣による農作物への被害は深刻で、平成24年度の被害額は前年度比7・5%増の約3億5300万円、捕獲数も年間2万頭を超える。多くが処分されるが、イノシシなどのジビエは欧州では高級食材で知られている。 「素晴らしい素材の力を持っている。調理に工夫を凝らせば、上質な料理に仕上げられる」。和歌山市のフレンチレストラン「オテル・ド・ヨシノ」の料理長、手島純也さん(38)は、和歌山で捕獲されたイノシシ肉に太鼓判を押す。肉を赤ワインで煮込んだり、パイで包んだ