山になりわい暮らしの中で木に触れる「林業女子」は、古くて新しいライフスタイルだと考えている。日本では時代とともに形を変えながら、林業と女性はさまざまな関わり方をしてきた。この写真は、筆者が学生時代を過ごした京都の山の昔の風景を写した絵葉書である。 京都を代表する銘木に、床柱等に用いる磨き丸太になる「北山杉」がある。北山杉の美林は川端康成の小説「古都」でも描かれたが、この北山林業において女性は重要な役割を担っていた。この写真に写っているのは、京都市北部にある北山杉の村で製造した磨き丸太を都へ売るため、山道を歩いて運ぶ女性たちの姿である。重たい丸太を1本ないし2本頭の上に載せ、1日に2往復して売り、帰りは都で手に入れた食料などを運んだそうだ。北山では枝打ちや伐採は男性の仕事だが、苗木の植え付けや保育、丸太を磨く加工作業や運搬は主に女性が担っていた。 小規模家族経営が多い日本の林業において、女性