韓国挺身隊問題対策協議会と挺身隊研究会は1993年2月に元慰安婦らの証言をまとめて、日本軍慰安婦の実像について記載した証言集を発行しています。前年の1992年1月に日本軍の関与を証明する文書が発見されて、日本政府はそれまで否定していた「国の関与」をようやく認めるに至りました。国の関与を認めたことにより、国の管理下で売春強要が行なわれたことが明らかになり、当然に日本政府の責任が生じるわけですが、日本の右翼・歴史修正主義者らは、日本軍を正当化すべく直ちに反撃を開始します。 それが吉田証言を捏造扱いすることで、慰安婦問題全体を矮小化することでした。その結果、本来、慰安婦問題の中のごく一部でしかなかった連行時の直接的な暴力の有無のみが焦点化されるようになります。秦郁彦氏が編み出した「狭義の強制連行」という詐術が、安倍政権の言う「慰安婦の強制連行はなかった」へと昇華することになったわけです。 さて、