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ブックマーク / nogawam.blogspot.com (8)

  • kokubo 氏の“反論”について(1)

    去る4月22日、朴裕河氏はツイッター及びFacebookにおいて、kokubo 氏が私に対して行った”反論”(後にみるように反論の体をなしていないので引用符でくくってある)を紹介した。朴裕河氏からの直接の反論ではないが、彼女は kokubo 氏の書いたものについて「その通りだと思った」とのことである。 朴裕河氏が紹介した kokubo 氏の”反論”は3つある。2つは氏が自身のブログで公表したものであり、残る1つはFacebookのポスト(「友達」限定公開なのか、私は閲覧できない)を朴裕河氏が自身のポストで転載したものである。ここではまず、2つのブログ記事について見てみることにしよう。 ・「河を渡っている慰安婦の写真は「朝鮮人慰安婦」である〜能川元一氏に反論する」(2015年12月29日) ・「この能川元一氏の『帝国の慰安婦』批判は最初で最大の間違いである。〜能川元一氏に反論する」(2016

    kokubo 氏の“反論”について(1)
  • 薄っぺらい「宣撫工作」理解と歴史修正主義

    この数日、ツイッターで相当の回数「拡散」されているブログ記事がある。「拡散希望です)大陸に出征した軍医さんへの命令書(未公開)2016.1.26」と題する約2年前のものだ。ケント・ギルバートや高須克弥のアカウントまで「拡散」に加わっている。 この「命令書」と「写真」の史料批判については専門家でもない私が口をだすことではないだろうが、歴史修正主義者の振る舞いという観点からみるといくつか興味深いところがある。 まず第一に、この記事に「南京大虐殺が存在しなかった写真つき証拠が発見される」というタイトルを付けて転載しているまとめサイトがいくつかあること。しかしこの写真、ブログ主は「南京の様子がアルバムに残っていました」としているけれども、誰が見ても南京とは似ても似つかぬ地方都市の風景である(注1)。「南京事件の証拠とされる写真が、南京で撮影されたものではなかった!」というのは南京否定論者が好んで主

  • 歴史修正主義/レイシズム研究

    LGBT理解増進法」が可決されたのをうけて、このところ右派論壇誌は「LGBT特需」に湧いている。セクシュアリティやジェンダーといった話題についてかねてから積極的に発言していた論者は右派論壇では限られているので、同じような名前を何度も目にする羽目になる。だから月刊誌『WiLL』(ワック)の2023年1号に小林ゆみ、saya、竹内久美子、橋琴絵による座談会「LGBT狂想曲 常識を取り戻せ」が掲載された3か月後の4月号で小林ゆみと竹内久美子による対談「活動家の目的は家族破壊と国家分断」が掲載されていることに気づいたときにも、特になにも思わなかった。その内容をチェックするまでは……。 4月号の対談は1月号の座談の使い回しである。それも単に「同じ話題を繰り返した」という程度のものではなく、1月号の座談のうち saya と橋琴絵の発言を竹内久美子による発言として編集し直したうえで、小林と竹内によ

    shidehira
    shidehira 2017/01/30
    “この冷静=合理的/感情的=非合理的という二分法自体がフォークサイコロジーに過ぎない。”
  • 歴史修正主義は何によってそう認定されるか

    誤解されがちなのですが、歴史修正主義的な主張は「結論が通説と違うから」とか「日軍を美化しているから」といった理由で「歴史修正主義的だ」と判断されるわけではありません。神ならぬ私たちは歴史記述それ自体だけをとりあげて「これは史実に合致している」とか「史実に反している」と判断することはできないからです。肝心なのはむしろある歴史記述(と主張されているもの)がどのような方法で導き出されているか、です。史料の取捨選択やその解釈、史料からの推論などがまったく妥当性を欠いている場合に「偽史」とか「歴史修正主義」という判断が下されるわけです。「おかしな結論」が出てくるのは「おかしな方法」が用いられているからなのです。一定の合理性を備えた方法によって導き出された歴史記述同士の対立は学術的な議論の対象になりますが、歴史修正主義は「疑似科学」の一種であって「歴史学の内部における、通説への挑戦」ではありません。

    shidehira
    shidehira 2016/04/22
    “。史料の取捨選択やその解釈、史料からの推論などがまったく妥当性を欠いている場合に「偽史」とか「歴史修正主義」という判断が下される”
  • 「朝日新聞を糾す国民会議」の訴状を読む

    現在日軍「慰安婦」問題に関連して『朝日新聞』に対して起こされている集団訴訟のうち、もっとも多数の原告を集めているのが「朝日新聞を糾す国民会議」によるものである。私は3つの訴訟の訴状を読み比べたのだが、その内容、というよりその文体において「朝日新聞を糾す国民会議」のそれは突出して異様だ。 訴状の「加害行為」の項には次のような一節がある。 朝日新聞は、戦後、一貫して、社会主義幻想に取りつかれ、反日自虐のイデオロギーに骨絡みとなり、日の新聞であるにもかかわらず、祖国を呪詛し、明治維新以来の日近代史において、日の独立と近代化のために涙ぐましい努力をしてきた先人を辱めることに躊躇することはない。旧軍の将兵を辱めるときは、ことさらそうである。実際のところ、明治の建軍以来、日の軍隊は、国際法を遵守し、世界で最も軍律が厳しく道義が高かったにもかかわらずである。客観報道・事実の報道をするわけではな

  • 『帝国の慰安婦』における「平均年齢25歳」の誤り/『帝国の慰安婦』私的コメント(2)

    『帝国の慰安婦』が「〈慰安婦=少女〉のイメージ」(64ページ)を批判するために援用している資料の一つが、有名な「日人捕虜尋問報告 第49号」である(153ページにも資料名は記されていないが、おそらくはこの尋問報告が念頭におかれている記述がある)。もっとも、『帝国の慰安婦』巻末の参考文献には、この尋問報告も収録された『政府調査「従軍慰安婦」関係資料集成』が挙げられているにもかかわらず、「平均年齢は二五歳」という一句が船橋洋一の『歴史和解の旅』(朝日選書)から孫引きされている。ここで朴裕河が尋問時の年齢と「慰安婦」にされた/なった時の年齢とを区別せずに論述していることについては、すでに yasugoro_2012 さんが指摘されている。しかしこれ以外にも、この資料の扱い方の問題点はいくつかある。 まず厳密に言えば尋問報告書には「平均年齢は二五歳」ではなく「平均的な朝鮮人慰安婦は二五歳くらい」

  • 「見なかった」証言の詐術

    『産経新聞』が連載「歴史戦」の第9部で「兵士たちの証言」を引き合いに出して南京大虐殺否定論を展開しています。2月15日の第1弾では熊第6師団の下士官として南京攻略戦に従軍した人物が登場しています。 しかし記事中にもあるように、第6師団はなにぶん師団長が戦犯裁判で死刑になっているため身内をかばう意識が強く、この師団の関係者の「見なかった」「なかった」証言は一番あてになりません。偕行社の『南京戦史資料集』にも第6師団だけ「不法殺害を思わせる手記、日記の類い」が載っていない。これについて秦郁彦氏は「連隊会は第六師団を担当した編集委員の努力に感謝したという話が伝わっている」としています(『南京事件 増補版』、290-291ページ)。 1984年に『朝日新聞』が第6師団歩兵第23連隊(都城)の兵士の日記に南京戦での虐殺が記されているのを報じた際には、連隊会が“犯人探し”をした、という実績もあります

  • 「ネット右翼」の道徳概念システム(1)

    『現代の理論』(明石書店)2008年新春号に掲載された拙稿の元原稿を、許可を得て公開します。一部の表現に違いはありますが論旨に変わりはありません。なお、執筆した2007年当時の情勢を念頭に置いて書かれたものであることをご承知おきください。 一 いわゆる「ネット右翼」について考えるうえで示唆的な二つの出来事に言及することから始めたい。 2007年5月、読売テレビが制作する番組「たかじんのそこまで言って委員会」において、出演者の一人橋下徹弁護士が光市母子殺害事件の弁護団に対する懲戒請求を行なうよう、視聴者にアピールする発言を行なった。その後日弁連によれば4000件を超える懲戒請求が行なわれ、弁護団のうち4人が橋弁護士に対して損害賠償請求訴訟を起こすという事態になっている。懲戒請求を呼びかける橋下弁護士の発言はネットのあちこちで引用され、番組を録画した動画が「Youtube」や「ニコニコ動画」

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