JR東海が総額9兆円強を投じ、東京~大阪間に建設する「リニア中央新幹線」。奈良など沿線6県につくる中間駅の建設費について、JR東海は地元の負担を求め続けていた方針を一転、6千億円弱という全額を負担する方針を明らかにした。不況で業績不振にあえぐ企業が多い中、今どき珍しい太っ腹ぶり。その背景には何が…。 「経営余力を高めていくことで、飲み込める範囲と判断した」。11月21日午後6時半過ぎ。山田佳臣社長は淡々と話した。 会見場となった東京都内のホテルは、詰めかけた報道関係者で熱気に包まれていた。それに先立つ1時間前。中間駅の負担問題に関し、山田社長と関係6県の知事らが一堂に会していた。JR東海側が基本方針を提示する場を初めて設けたのだ。 「お互いこれまでの主張を繰り返しても進まない」。今夏ごろから駅の費用負担に関し、山田社長の発言は微妙に変化し始め、関係者の間では「何らかの譲歩があるのでは」との