これまで、スマートグリッドに関する私の大風呂敷の議論にお付き合いくださり、読者の方々には心より感謝している。既にお分かりの通り、私はスマートグリッドの推進論者である。しかしながら、何が何でも推進すべきとは思っていない。スマートグリッドはいまだ確立されたものではなく、国によって地域によってその動機や態様は異なるだろう。何のために導入するのか、その可能性や必要性を冷静に吟味することが重要である。 本連載コラムの最終回では、最新の状況を踏まえつつ、今後の日本がスマートグリッドにどのように取り組むべきか、提言してみたい。 スマートグリッドに取り組む多様な動機 これまでの議論をまとめれば、スマートグリッドに取り組む動機は複数あることが見えてきた。主たるものとして、地球温暖化対策とピークシフトによる設備投資の効率化の2つを中心に議論してきたが、これら以外にも、EV(電気自動車)用インフラの構築、エネル