さあ、令和初の新年。経済成長を軌道に乗せ、日本国民全体として豊かになる年にしたいものだが、問題は貧乏神がわれわれに取り憑(つ)いて離れないことだ。 貧乏神とは、「借金は悪」を喧伝(けんでん)してまわる財務省である。厄介なことに、その貧乏神様に政治家の多くがひれ伏し、経済学者がご託宣を述べ立て、財界が追従を言い、メディアが唱和する。 資本主義経済では、借金は善である。借金なくして経済成長なし、国民の資産は増えない。借金を減らせば、国民は豊かになれない。この冷厳な経済法則を日本の支配層の大多数が無視する。 なぜ、借金が増えると国民は豊かになるのか。それは資本主義経済の仕組みを端的に表す複式簿記にある。資本主義、言い換えると貨幣を媒介して成り立つ市場経済ではすべてが金額で表される。カール・マルクスが描いた究極的な共産主義社会は複式簿記無用経済である。貨幣無用の物々交換であり、借金がありえないのだ