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ブックマーク / honz.jp (11)

  • 『実録 ドイツで決闘した日本人』 - 高貴なる野蛮 - HONZ

    驚くべきことに、ドイツでは今日もなお、刃渡り約90センチの切れ味鋭い真剣を用いた「決闘」が一部の学生の間でごく普通に行われている。 そんな書き出しで書は始まるのだが、驚くのはこちらの方だ。隣のページに目を移すと、いきなり著者が身長2メートル近いドイツ人の大男と決闘しているシーンの記述に出くわす。それも著者が留学していた当時の話だから、わずか30年くらい前の出来事なのだ。 ドイツ語で「メンズーア」と呼ばれるこの「決闘」は、刃渡り88センチ、柄の部分が15センチもある鋭利な真剣を用いて、顔と顔を正面から斬りつけるものである。決闘する両者の間には剣の長さの分、つまり約1メートルほどの距離しかなく、直立して向かい合わなければならない。しかも敵の攻撃をかわすために、上体と頭を前後左右に動かしたりすることすら許されていないのだ。 後ずざりしたり、顔をのけぞらしたり動かしたりした者は、「臆病で卑怯な態

    『実録 ドイツで決闘した日本人』 - 高貴なる野蛮 - HONZ
  • 『「うつ」は炎症で起きる』 「それは体の問題」という新たな視点 - HONZ

    若い医師はあるとき、リウマチ性関節炎と診断されていた女性患者がうつ病をも患っていることに気づいた。そのささやかな発見に気をよくした彼は、上機嫌で先輩医師にその旨を伝える。だが、先輩医師から返ってきた反応はきわめて淡白なものであった。「うつ病? そりゃ、君だってそうなるだろうよ」。 以上は、書の著者エドワード・ブルモアが内科の研修医時代に実際に経験したことである。そしてそのエピソードは、うつ病がこれまでどのように扱われてきたのかをよく物語っている。それはすなわち、「うつ病のような精神疾患はすべて心の問題だ」という扱われ方である。「そりゃ、君だって関節炎のことで悩むだろうし、そうしたらうつ病にでもなるだろうよ」というわけだ。 しかし、著者はいまやまったく別様に事態を見ている。その見方は、かつては自分でも「いかれている」と思えたようなものだ。著者曰く、先の女性患者は「リウマチ性疾患のことを思い

    『「うつ」は炎症で起きる』 「それは体の問題」という新たな視点 - HONZ
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    「ナウシカ戦法」「男女の違い」・・・とら婚によるオタク友達を作る... 2018年09月23日 「ナウシカ戦法からの3ワード」「許し、許される」「男性の変化を促すアプローチ」――「オタクに寄り添う」婚活サービスを手掛ける「とら婚」が「オタク友だちを作ろう」という趣旨で、女性向けに女子会を開...

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    shimomurayoshiko
    shimomurayoshiko 2017/04/07
    津久井淳二とのバトルはよ。あと田中康平、俺案外好きよ。田中康平のほうタイトル忘れたけど西ヶ谷コウの『死煙』やら読んでみたいよねえ。山本春平の作品も気になる。
  • 『ダメな統計学 悲惨なほど完全なる手引書』で科学の基盤をより確かなものにする - HONZ

    世界は数字であふれている。政治家の支持率から健康品が病気のリスクを下げる確率まで、ニュースや広告を介して、新たな数字が次々とわたしたちに届けられる。しかしながら、その数字がどのようにつくられ、どのような意味を持つのかを真に理解することは容易ではない。特に、数字の送り手に悪意がある場合には注意が必要だ。50年以上前に出版された世界的ベストセラーの『統計でウソをつく法』で知られるように、統計を恣意的に用いれば、多くの人を欺くことはそれほど困難ではないのだ。 それでは、きちんとした科学研究室・大学によって裏付けられたデータならば無条件で信用できるのだろうか。そうではない、と統計学の講師でもある著者のアレックス・ラインハートはいう。科学者たちに悪意があり、統計学を歪めて使用しているわけではない。科学者たちもまた、わたしたち一般市民と同様に統計学をきちんと理解していないというのだ。 科学者は、統計

    『ダメな統計学 悲惨なほど完全なる手引書』で科学の基盤をより確かなものにする - HONZ
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    前代未聞!!女装した少年が悪と戦う少年漫画!『ボクらは魔法少年』... 2018年09月19日 2018年9月19日(水)に発売した「週刊ヤングジャンプ」コミックスの中から、日はマンガ新聞編集部イチオシのタイトルをお届けします!

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    shimomurayoshiko
    shimomurayoshiko 2016/08/28
    『十月桜』といい相変わらず「良識派」ってことだろうか(褒め言葉)
  • 『テクニウム』 - 利己的なテクノロジー - HONZ

    もしも地団駄というものが踏めるものであるのなら、この一冊を読みながら踏んでみたいと思う。 原題は『What Technology Wants』=テクノロジーの望むもの。テクノロジーの歩みを『種の起源』のように捉え直すという束ね方に独創性があり、これまでに見聞きしてきた様々な知識が一の線でつながるようなダイナミズムに満ち溢れている内容だ。おかげで、を呼ぶような深みにはまってしまい、関連書籍から逃れられなくなってしまったほか、一体、これまで自分はその手のの何を読んでいたのだろうかとショックを受け、何もかもを一から学び直したい気持ちになった。 一口にテクノロジーと言っても、書で取り扱う対象は非常に幅広い。Facebook、Googleといった昨今のネット上のものから、電信・電話、言語や法律、石器、火の使用といった太古のものまで。日頃、その存在を意識しないほど浸透しきったものであればあ

    『テクニウム』 - 利己的なテクノロジー - HONZ
  • 『悪い奴ほど合理的』 世界を少しずつよくするために。 - HONZ

    時代劇が好きで、よく観るのだが、『神谷玄次郎捕物控』(NHK BS時代劇金曜午後8時)を観ていたら「おっ?」と目を引くシーンがあった。 探索中の定廻り同心・神谷が、事件とは何の関わりもなさそうな某藩上屋敷に入っていくので何かなと思いきや。三宝に載った袱紗が出てきて、開けてみれば黄金色。それを神谷は悪びれもせずしれっと受け取って懐に入れる。江戸詰めの藩士が町人と揉め事でも起こしたときに、内々に事を収めてもらえるように、との趣旨である。 こうした金のやりとりのシーンがあるときは、たいてい「この人物はやさぐれてますよー」という表現だったりするのだが、このドラマでは特に意味を持たせることもなく、というかありふれた日常の一コマとして描くというのが珍しいなと思いながら観ていた。 なにしろこのころは「付け届け」なんぞは当たり前なのである。江戸百万都市の治安を与力50騎同心200人の少人数でなんとかするの

    『悪い奴ほど合理的』 世界を少しずつよくするために。 - HONZ
  • 『死刑でいいです』モンスターと呼ばれて - HONZ

    「母を殺したときの感触が忘れられなかった」 エロとグロのレビュー担当者を自認しているとはいえ、朝から気味の悪い言葉を記してしまった。山地悠紀夫の言葉である。 2000年、16歳で実の母親を撲殺。少年院を出所後の05年に面識のない姉妹を刺殺。反省を一切見せずに死刑を自ら望み、09年7月28日に25歳で死刑に処せられた山地悠紀夫。書は彼の人生に迫った一冊である。 親族、医師、同級生、担任教師、少年院仲間、弁護士、出所後に所属したゴト師集団の同僚・・・。人への取材が難しい中、著者である共同通信社の2人の記者は山地の息づかいが聞こえてくるほど丹念に取材を重ねる。酒乱で家庭内暴力を振るう父、その父が病気で苦しみ、死の間際にあっても見て見ぬふりをする母親。水道が止められ、山地のバイト代までをも母が財布から盗むほどの貧困発達障害いじめ。哲学書を愛用する一面。周囲と自ら壁を作り孤立する出所後。ゴト

    『死刑でいいです』モンスターと呼ばれて - HONZ
  • 言語の力は7%か?『言語の社会心理学』 - HONZ

    タイトル『言語の社会心理学』だけでは、抽象的で伝わらないし、内容の推測も難しい。しかし、装丁と帯をよく見てみると、書のことを伝えようとする気迫が伝わってくる。 副題は「伝えたいことは伝わるのか」 帯には、「ことばは「文字どおり」には伝わらない」 背表紙からは、「伝えたいのに伝わらない」 裏返すと、「伝えたいことを伝えるために」 ここまで何度も伝えられれば、さすがにメッセージが伝わってくる、「あなたも(伝えたいことが伝えられないなら)、買ってください」と。どうでもいいが、既に「伝」の漢字を15回も使っている、この後が不安だ。 著者は、ことばとコミュニケーションに関して社会心理学的な立場から研究をしている。就活の面接対策でよく話題になるメラビアンの法則では言語の力は7%に過ぎない(口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%)と言われているが、そのことについても、正しく

    言語の力は7%か?『言語の社会心理学』 - HONZ
  • 心の動きに興味のある全ての方へ『ファスト&スロー』 - HONZ

    私たちの意思は自分たちの気がつかないところで、周りの環境に大きく影響されている。例えば、書でも幾度か登場する、選挙の場面ではどうだろうか。 投票所がどこにあるか、そんな些細なことにも大いに影響されている。アリゾナ州での学校補助金の増額への賛成票は、投票所が学校の場合、そうでない場合よりも有意に多かった。これは先行する刺激(この場合は学校)に判断や選択が影響されてしまう「プライミング効果」と呼ばれるものだ。 政治に疎くテレビ好きの有権者は、政治にくわしくテレビを見ない有権者の三倍も、「顔の印象に基づく能力」に影響されやすい。がっしりした顎と自信あふれる微笑の組み合わせが、できる男の顔で、能力がある印象をもたらす。だからと言って、政治家として活躍できる証拠は何処にもない。 投票用紙への記入にも、小さな工夫がある。難しい漢字の候補者はひらがなで立候補する1つの要因に、誰もが習熟したひらがなを記

    心の動きに興味のある全ての方へ『ファスト&スロー』 - HONZ
  • 『白鍵と黒鍵の間に』 - HONZ

    ピアニストという人種はなぜ文章もうまいのだろう。クラシックの中村紘子、ジャズの山下洋輔などは音楽だけでなく文章も玄人だ。エッセイのうまい歌手とかギタリストなんてあまり聞いたことがない。 書はジャズピアニスト南博の学生時代から、銀座のクラブでのピアニスト稼業をへて海外留学するまでの自叙伝である。副題に「ピアニスト・エレジー銀座編」とあるとおり、銀座での出来事が中心だ。巻末にはご丁寧に自身作曲のエレジーの楽譜が掲載されている。まさに哀歌一色のなのだ。 それにしても、水商売とはなんと哀しい職業なのだろうか。その理由は自らの肉体だけで、しかも一対一で、客を満足させるという究極の商売だからだ。目の前の他人に合わせて自分を作る必要がある。自らの尊厳をかなぐり捨てる覚悟がいる。 その対称象限にある商売とは他人の肉体で、しかも一対多で、客を満足させる職業だ。画一的な商品を提供するのみで、自分に他人を合

    『白鍵と黒鍵の間に』 - HONZ
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